カンボジアの蟻の巣(風景の中へ34)

密林に寺は沈みぬ蟻の塔

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これで高さ1m弱
「人莫躓於山而躓於垤」
読めもしない漢文を貼り付けたが、「ひと山に躓かずして垤(てつ)に躓く」と読み、大きな山につまずくことはないが、小さなアリ塚にはつまずいてしまう、小さなことに油断して失敗することを諌めた「淮南子」にある警句らしい。垤(てつ)は、アリ塚の意味である
漢字検定の問題集にこの「垤」という字が問題として出てきた。漢字がわからないのも当然で、蟻塚など写真でしか見たことがなく実感がわかないばかりか、日本の標準語には単語がないのである。(方言はしらない)
ところが先日カンボジア観光をしていたら、いたる所にこの「垤」がみられる。道の脇の林の中から田んぼの中まで無数に立っている。どうやら毀すと良くないことがあるといい、そのまま触らないらしい。「垤」の直ぐ脇で、土のカマドに大鍋をおいて、ヤシから採った液を煮詰めて砂糖を作って売っている。蟻が集らないのか。まったく共存である。
 
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へええ、と感心していたら、今度は木の上に蟻の巣があるという。この蟻をとって食べる、とガイドさんは言っている。見ればちいさなスイカほどの木の葉を丸めたようなものが枝にかかっている。生きた葉を紡いで丸い巣にするようだ。木の上の蟻の巣を意味する漢字があるのかと探したが、わたしの能力では見つけられなかった。
蟻塚もそうだが、雨季には水が増す土地に棲息する虫たちの水没を免れる知恵なのだろうか。人間の高床式の家と同じレベルの知恵だと、訳もなく一人で感心。
これでこの漢字も覚えられそうだ。