服部嵐雪の妻 烈

先日、ブログに「梅一輪」の句をあげて、服部嵐雪の奥さんのことを話題にした。
http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/65785889.html

江戸時代の1816年に刊行された「俳家奇人談」(竹内玄玄一著)に、「妻の名を烈といへるも、嵐雪の切(かえし)なりと」と本文には書かれている。何を意味するのかわからなかったのだが、素人の私なりに、一応理解したので記録しておく。

まず、「切」(かえし)だが、これは反切ともいわれ、漢字の音を、別の漢字でもって表す中国の方法のようだ。
デジタル大辞泉には次のように載っている。
ある漢字の字音を示すのに別の漢字2字の音をもってする方法。すなわち、上の字の頭子音(声母)と下の字の頭子音を除いた部分(韻母)とを合わせて1音を構成するもの。
例えば、「東」の子音は「徳紅切」で「徳」の声母[t]と、「紅」の韻母[oŋ]とによって[toŋ]とする類。かえし。


ここから推察するに、烈の発音は、嵐雪の切(かえし)ということであり、何も分らない私が漢和辞典で引くと、次の図のようになる。
イメージ 1

文の意味は、烈の発音は、嵐の声母①と、雪の韻母②をあわせたもの、という意であろう。ただし漢和辞典でみると烈の発音記号は、①+②ではないので、私にはわからないのだが、似ているので勝手に「近似値」だとしておく。

ということは、実際に中国語ではどういう発音になるか知らないが、烈は、おそらく「なみ」とはよまなかったということだ。やはり「れつ」だったのだろうと思われる。言葉に敏感な俳人はこんな遊び心ももっていたということか。
以上素人が思いつきで判断してみたが、正否の程はわからない。

ちなみに、烈という名の女性は珍しいが、宮尾登美子の「蔵」の盲目の主人公がその名だということだ。(私は読んでいない。)