ねむの木 濡れて

昨夜の雨合歓を泣かせて上がりけり
(よべのあめねぶをなかせてあがりけり)
 
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台風一過の朝。でもまだ雲が厚い。合歓も濡れているだろう。
合歓はマメ科だというのだが、どこでどう間違ったのか、とてもそうは思えない形をしている。妖艶、婀娜なとでもいおうか。しかし実を見ると、なるほどマメ科だと納得できる。
 
ねむの木は、ネムではなくネブと言ったほうが、私はいい感じがする。芭蕉の象潟もネフである。
ネムの葉は夜に閉じて眠るようだからネムとなったというが、触ったくらいでは眠らない。花は夜も眠らない。
 
宇都宮貞子さんの「ねむの木」(「夏の草木」(新潮文庫))には明日香での次のように聞き取りをしている。女の子が「ねんねの葉」をとってふところに入れて、
ねんねんねよねよ
わたしゃまだねやん
わたしは大和(やまと)のスモントリ
というてから出して見れば、もうおねんねしてますね。
 
ということは、伐って熱たまめたりの強い刺激をすると、葉を閉じるのだろうか。これは確かめないといけない。
 
このわらべ歌に出てくる「わたしは大和(やまと)のスモントリ」とはなにか気になるところ。スモントリとは、相撲取りのことか。
大和の相撲といえば、桜井市山辺の道にある穴師坐兵主神社(あなしにいますひょうずじんじゃ)の入り口に相撲神社がある。3年ほど前に、通りかかって参拝した、といっても社がなかったのか、小さい祠を新造したばかりだった。
 
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(相撲神社の鳥居)
ここは日本書紀に記載された天覧相撲の発祥の地である。当麻に蹶速(くえはや)という力持ちがいたので、出雲から野見宿禰(のみのすくね)を呼んで戦わせたところ、二人は蹴りあい、野見宿禰が蹶速のあばら骨を踏み砕き、腰を踏みくじいて殺した。というもの。小さな村の神を従わせたという意味も裏にありそうだ。
 
明日香と桜井の穴師は遠くはないので、こんな想像もありうるかなあ、と思った次第。でも時代が違いするかな。
少し脱線したようだ・・・。

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実際にネムの葉を調べてみた。

採って5分後
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採って35分後
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ここからみると、とてもすぐに眠るとは思えない。
どうやら宇都宮貞子さんの聞き取りは正確ではなかったように思える。
もしかしたら「おじぎそう」と混乱している?