鮭を皮付のまま、海水で洗って潮風で干したもので、普通は縦に細長く切ってある。硬いので、少し炙ったり、少しずつしゃぶったりすると、酒の肴にもってこいである。
鮭の肉と脂と塩気とが微妙な味をだし、なかなか一言では言えない複雑な味がする。懐かしいような哀しいような、いわば人生の越し方の時間を凝縮したような味で、炬燵にあたりながら、力を入れて皮から身を引きちぎるのも、ほのかに切ない。
私はこの味を知らなかったので、これまでなんと惜しい冬を過ごしてきてしまったのか、と悔やんでいる。
鮭冬葉(さけとば)や友よこの夜なに思う
このトバは横に切った手作り ワイルドだ
このトバは横に切った手作り ワイルドだ