ヌスビトハギとアレチヌスビトハギの違い (マメ科)

近道やぬすびと萩も草虱も

 

f:id:zukunashitosan0420:20201004070747j:plain アレチヌスビトハギ

静岡市で道路わきなどで目にするのは、ほとんど荒れ地ヌスビトハギだ。これは1965年に初めて確認された外来種で、出身地は不明とのこと。*1

花盛りは結構きれいだが、やがてぼうぼうになりくっ付く種をたくさんつける。始末が悪いひっつき虫だ。

 

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在来のものは比べると花は小ぶりで控えめ。やや日影の場所に見られるように思う。ヤブハギという近似種があるというが、私も同定に自信はない。

ヌスビトハギとアレチヌスビトハギの区別は簡単で、豆のサヤ状の種を見るとわかる。ヌスビトハギは種が2つ、アレチのほうは4~6ほどもある。

 

ヌスビトハギの名は、知らぬ間に裾にくっついてしまう泥棒のようだからという説や、種のサヤが盗人の足跡の様だからという牧野富太郎博士の説いた説があるが、私は牧野説が面白い。この名前は、ママコノシリヌグイヘクソカズラと並んで3大野草おもしろ名前だと、私は考えている。

 

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先日、韮山の願成就院を訪ねて運慶の国宝の阿弥陀さんをお参りしてきた。鎌倉時代の北条氏の菩提寺である。案内してくれたのは、作務衣を着た西洋人男性で、伺うと副住職さんのご主人だという。説明では本尊の阿弥陀仏は目に入っていた水晶がえぐり盗まれたために、眼の周辺を修復してあるのだという。どうも御顔に生気が乏しいように映っていたのだが、そう言われると、その眼のせいかな、などとぼんやり思った。脇侍の両観音像も廃仏毀釈の折に行方不明になったという。

帰りがけの堂の影にヌスビトハギが何本か生えていた。

 

*1 「侵入生物データーベース」国立環境研究所