ハギ咲いて

だらしない萩を括って愛おしみ

急に空気が冷えてきて、ようやく庭の植物にも気が向くようになった。

その中で、きれいな赤紫が見えるのが、萩の花。

いい色をしている。もうほろほろこぼれて、地面が紫に見える。万葉の昔から人気のある理由が分かる。種類はミヤギノハギだろうと自分で勝手に決めているが、正確には分からない。

庭には、白と赤紫があったが、白萩は余りに大きくなり過ぎたので、三分割して一つは他所にあげて一つはポットに植え、一つは別処に植え替えた。ところが日差しが強いせいか、葉がみな焼けて落ちて惨憺たる有様になってしまった。さて来年どうなるのか。

 

中尾佐助著「花と木の文化史」(岩波新書)には、

万葉集の中でうたわれた植物の圧倒的な多くは、日本原産植物である。なかでもハギはトップである。ハギは原生林の植物でなく、自然破壊をした後に成立するマツ林などの二次林などで目立つ植物である。ハギの歌の多いことは、万葉時代には自然破壊がすでに進行しており、まわりにハギがかなり普通であったことを示すことにもなろう。」としている。

とすると万葉集巻10の

秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩の花見に(2103)

という「野」は木が伐採されて、一部畑などもみえる少し開けた開拓地で、そこは一面にハギの野原になっている風景なのか、と想像する。

 

また、大伴家持が恋文に応えて返した歌

 

わが屋戸の一群萩を思ふ児に見せずほとほと散らしつるかも(1565) 

 

本当に誰かに見てもらいたいのに、ほとほとと散ってしまう。

これが一茶になると、

 

痩萩やぶくり~と散にけり (文化4)

 

さて、ぶくりぶくり、というのはどんな有様か。