巨大石橋の美しさ(シリーズ風景の中へ19)

熊本県で巨大な石橋、霊台橋と通潤橋を見た。
見上げると空の上に石が並んでいる。なぜ石が空中に並んでいて落ちてこないのかと素朴な不思議にうたれる。
いずれも日本最大級、江戸末期の建設である。両方とも緑川に架けられたもので、このあたり川は渓となり深く山肌をえぐっている。隣に対岸が見えても渡れない。また、渓に水があふれていても台地を潤すことがない。これはどんなにか不自由なことだったろう。架橋は人々の切望するところだったろう。
霊台橋は1847年にわずか6,7ヶ月の工期で完成、全長90m、高さ16.3mである。
通潤橋1854年に18ヶ月かけて完成している。全長78m、高さ20mである。この橋は渓を渡す水道橋で現役に役目を果たしている。放水している写真で有名だ。
橋の建設はお殿様の藩の公共事業ではなく、庄屋さんの民間人が施主であり日本の民力を感じさせる。支えているのは肥後の石工の高い技術だ。通潤橋は熊本城を参考にしているといわれ、ほとんど城の石垣の印象だ。
 
通潤橋の指導者は布田保之助という惣庄屋であった。アーチ橋の下の台枠をはずす日、彼は白装束に身を固めて橋の上に立ち、万一成功しない時は橋とともに命を捨てる覚悟であったという。石橋に積み込まれているのは、人々の命がけの希望だ。

(通潤橋は、観光用に予約で放水してくれる。1万円だという。「大変な水量ですから、採算はとても取れませんがね・・・」と管理のおじさんが言う。)

郭公の声鳴り響け通潤橋


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霊台橋

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