臆病なユキワリソウ(New野の花365日)

日脚のぶ一駅前で降りてみむ
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臆病なユキワリソウ

日が伸びて、いろいろな花が咲き始めた。スイセンはあちこちで満開だし、ウメもひらいてきた。園芸のサクラソウもほぼ満開だ。
私の庭でも、真っ先きってリュウキンカが黄金の花びらを開いて春めいた陽の光に安物の玩具のようにピカピカ光っている。
陽射しに誘われてしばらく見回りをしていなかった裏手には、もうフキノトウも咲いていた。薄紅の馬酔木もあと数日だろう、玉之浦(椿)ももうつぼみが割れて花弁が見え始めている。

だが、まだ急に氷点下に下がる日がある。油断していて、クンシランや銭の木が
坊主になったり、草花を枯す失敗を何度もしている。

そこへいくと、ユキワリソウミスミソウ)は慎重な性格だ。毎日わずかずつ芽を膨らめて、暖かい日があるといって決して浮かれて咲くというようなことはない。蕾の奥にじっと潜んで
急くとこはないわ!

とでもいうように、から外の様子を窺っている。慎重というより、臆病にさえみえる。

この花をみていて、ふと私の口をついて吉田卓郎の「襟裳岬」がでてきた。

いじけることだけが生きることだと
飼い馴らしすぎたので
身構えながら 話すなんて
ああ おくびょうなんだよね
襟裳の春は 何もない春です

長い長い、種族の命の歴史と経験が、彼女の性格を臆病にしたのだろうね。けれどあと10日もすれば実に美しく咲くのだ。