世界のお化け

イスラム国人質事件でこの数日は気が重く、我流俳句をひねる気も起きなかったのだが、これは長期化かなと思った途端の殺害ニュースだった。後藤さんに哀悼の意をささげます。

一体このお化けみたいな連中は何なのか?なにが不満で、日本に何をしようとしているのか?よく知らないのだ。それがいきなり刃を突きつけてお前は敵だと喚き始めた。

 

・・・ヨーロッパに幽霊が出る-共産主義という幽霊である。ふるいヨーロッパのすべての強国は、この幽霊を退治しようとして神聖な同盟を結んでいる・・・

これはなんと、150年前のマルクスエンゲルス共産党宣言の冒頭。そんなものと並べるな、と叱られそうだが、ついつい想起してしまう。

 

私は、そしておそらく日本の国民多くは、正直のところ相手を知らな過ぎた。

日本は、西洋に追いつけ追い越せで、キリスト教をはじめ西洋文化を必死に学び取り込んできた。それはまた、西洋列強の植民地とならないための必死の変革だった。戦後はアメリカの傘の下でアメリカに物を買ってもらうためにアメリカを学んだ。

けれどイスラムについては、何にも学ばなかった。戦後、産油国という経済的意味を認めるだけだった。だから虚をつかれた。

 

お化けは尾花かもしれない。むやみに不安を排して正しく対応するために、相手を知らなくてはならない。そんなことを後藤さんも語っていた。確か、タリバンのときも私はそう思って本を買ったりもしたが、遠い話なので不消化のまま投げ出した。

今度はそうもいかない気がしている。日本の国に「イスラム」というスイッチがONになった。その灯りのもとには、違う価値観、民族・宗派対立、貧困と格差などの生々しい現実の課題が照らし出されるのだろう。安全ボケからめざめ、現実的に世界の危険・テロ対策も強化しなければならない。うっとうしいがそれに付き合わされる羽目になるのだろう。

 

日本が世界各地の戦争を抑止するために出来ることは何か。隣の軍事大国や内部からのテロには、力だけでは限りがある。70年間戦争をしないできた国としての、賢い「全方位外交」を、愚直に続ける遠回りの道をもっと議論しても良いと思う。

ノーベル賞を受賞したマララさんのいう教育、一本のペンのスピーチとその表情は、この遠回りの道しかないことを確信を持って伝えていたことを思い出す。教育支援を日本の外国支援の基本にすえて、それを単純にしかも明確に国際社会に理解してもらう、息の長い取り組みが必要ではないか。そのために私には何が出来るのだろうか。