春の水

春の水シリア砂漠に溢れゆけ

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日一日の言葉どおり、昨日より今日、陽の輝きがまばゆくなり空の色は濃く、野面に霞がたつような気配がしてくる。そして今日よりは明日。
などと詠嘆しても、なんのことはない、次の新古今の歌を追認しただけのことである。この季節感は昔っから日本人の中に形成されてきたものなのだ。

ほのぼのと春こそ空にきにけらし 天の香具山霞たなびく(後鳥羽院

瀬の水音もいい。冷たい角がとれて、水はH2Oの鉱物からのどかな春の小川の命の源に感じられはじめる。
ついつい、水の流れを屈みこんでしばらく覗いている。春の光が氾濫する。

志賀重昂明治27年に「日本風景論」を著し、「日本には水蒸気の多量なる事」をまず挙げている。水蒸気が日本の文化をかたちづくって来た。
中近東にもっと雨が降れば、もっと湿潤な気候であれば、こんな民族・宗教の血で血を洗うような歴史にはならなかったのだろうと、ありえない if を考えてしまう。