もくれんと木喰仏(風景の中へ35)

微笑仏の頬もくれんの花開く
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藤枝市岡部町を走っていたら、十輪寺モクレンの寺、という看板が出ていたのでついつい誘われ寄ってみると、境内をはじめ全山400本というモクレンが、文字通りいまを盛りと咲きほころんでいて、じつに壮観だった。これほどのモクレンは見たことがない。期間が短い花だから、本当にタイミングが良かった。
本堂に入ってみると、木喰仏が2体安置されていた。いずれも1mを越す立派なものである。画面右が子安地蔵菩薩であり腕にされているのは子どもだろうか。左は虚空蔵菩薩である。2仏とも頬骨を張って、丸いお顔でニコニコされている、いわゆる微笑仏である。木喰仏を見ていると、自然にこちらも頬の筋肉がゆるんできて、明るく陽気に暮らしたいという気持ちにさせてくれる。数年前に柏崎の十王堂、市博物館へ木喰仏に会いに行ったことを思い出す。
さて、解説によればこの2体は寛政12年(1800年)、上人83歳の円熟期の作で、7月11,12日の2日間で2体を彫り上げたということになっている。素人目だが完成度がとても高いと思える。
藤枝市焼津市近辺(志太地域)には、木喰仏が多く残されていることは聞いていたが、まさか花を見に入った寺で木喰さんに逢おうとは思わなかった。
春ののどかな里山での、うれしい出遭いであった。
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