ワレモコウ=さびしききはみ

舞い降りて蜻蛉とまれば吾亦紅
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開花・・・花弁はない
実生のワレモコウが2年目で小さい花穂をつけた。この松ぼっくりのようなのは、どういう花なのか、今までしっかり見たことがなかったので、気をつけていると、ふくらみが写真のように割れて開花した。変わったかたちである。私のカメラではこんなところが限界。

ワレモコウという名前については、これまた諸説ある。木香という香りのある植物の根の日本産、という説もあるが余り支持されていない。割れ木瓜もっこう)だろうという説は、
一つ一つの花の形が木瓜もっこう)という紋所に似ていることによるらしい。この説は昨日登場した前川文夫博士が「日本人と植物」で発表したものであり有力となっている。
吾亦紅、吾木香と書くのは比較的新しいようで、我も恋うと読めたり、紅の字があらたにイメージを拡散する。
吾木香といえば次の歌。

吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ

牧水の若いころの歌である。
昔読んだ牧水歌集の中でマークしてある幾つかの歌から戯れに書き出してみると

うらこひしさやかに恋とならぬまに別れて遠きさまざまの人
雲ふたつ合はむとしてはまた遠く分れて消えぬ春の青ぞら
あらら可笑し君といだきて思ふこといふことなきにこの涙はや
いざ行かむ行きてまだ見ぬ山を見むこのさびしさに君は耐ふるや
うらかなしこがれて逢ひに来しものを驚きもせでひとのほほゑむ
少年のゆめのころもはぬがれたりまことの男のかなしみに入る
恋もしき歌もうたひきよるべなきわが生命をば欺かむとて
海山のよこたわるごとくおごそかにわが生くとふを信ぜしめたまえ
光なきいのちのありてあめつちに生くといふことのいかに寂しき
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり


止まらなくなった。たまには飲みつつどっぷりと牧水に浸るのもいいか。

やはり吾亦紅はわびしさを募らせる。