南ドイツの広大な畑や森におどろく

訪ね来てチューリンゲンの黄葉かな
イメージ 1
(ヴァルトブルグ城の黄葉)

今回のツアーでは、ベルリンを発ちドレスデンを経由してフランクフルトまで、700余kmを4日かけてバスで走った。初めての風景なので、見るものすべてが驚きである。
 
ベルリンはまだ黄葉には少し早いのか名所のウンター・デン・リンデンを歩いたがまだ色づく気配を感じなかった。それが南下するにつれて内陸の寒さのためか徐々に黄葉が目に付いてきた。ドイツの10月は、ゴールデン・オクトーバーとよばれて、黄葉が美しい季節だ。その中を突っ切ったことになる。
 
日本の秋の紅葉というと、赤や黄色というイメージを持つが、ドイツは黄色・褐色が普通だという。赤色が少ないからはじめは地味にしかみえなかったのだが、次第に目がなれてくると黄葉は落ち着いた懐かしい色合いであり、陽をうけて明るく輝くと、心のなかにほっと暖かさを感じさせるような気がしてきた。
イメージ 2
(色づき始めたヴァイマル市街)
日本の紅葉など、きっと赤には人を搔き立てるものがあり、否が応でも季節の移ろいを際立たせ過ぎてしまうのだろう。春の桜と共通する心理効果をもたらすのかもしれない。
ドイツの国の木は菩提樹(リンデン)と樫で、いずれも黄・褐色に色づく。ドイツ人はこの黄色に格別な愛着を持っているのだそうだ。
日本も万葉のころは黄色が主体だったらしいことは、以前書いたことがある。

イメージ 3
 (ライプチヒからヴァイマルへの車窓から)
バスは、相変わらず広々と地平線まで続くような平らな農地、耕してあるものの、何も生えていない、人もトラクターも見えない、そんな風景の中を延々と走る。
ドイツってこんなに農地が広いのか!北海道の牧場を思わせるが、もっと広そうだ。
ときおり若菜のように緑が見えるのは、後でうかがうとビートだという。そしていわゆるチューリンゲンの森が広がっている。松、樫、白樺、トウヒなどが眼につく。
広葉樹は、日本よりも一本あたりの葉の数が少ないように思うのは、気のせいだろうか。
 
さて、この辺りは標高といっても200m程度。それがゆったり起伏しながら地平まで続いている。数キロほど走ると、その丘の陰に教会の尖塔が見え、赤い屋根の50軒ほどの集落がみえてくる。そこを行き過ぎ、またしばらくは何もない農地。時折風力発電が見える。そしてまた教会の先端が丘のむこうに見えてくる。赤い屋根の集落・・・。
いかにも広く、おそらく昔とそう変わらない田舎の風景を残しているのだろう。
 
イメージ 4

ちなみにドイツ、フランスと日本を比べると、改めて「うーん」と声が出る。データは寄せ集めなので、きわめて不正確だが、大まかにはその歴然とした差異がわかるだろう。
 
 
日本
ドイツ
フランス
国土面積(km2)
378
357
640(植民等込み)
農地 (万ha)
456
1,689
2,927
比率 (%)
12.2
47.3
53.3
平均経営面積(ha)
2.27
55.8 (24倍)
52.6 (23倍)
穀物自給率 (%)
28
103
176
 
工業国ドイツは、農業国でもある。ヨーロッパ諸国は、食糧安全保障の面で足元がしっかりしている。バスの窓から雑草も作物の廃棄ゴミ見当たらない南ドイツの広大な農地を見ていて、肥沃といえるのか疑問も感じるが、なんとも底力を感じてしまうのだった。