仮設屋や淑気小さきドア飾り
災害の多かった2019年。まだ仮設で大勢の方が生活されている。今年はオリンピックだが、まずは災害が少ないことを祈らずにはいられない。
大晦日の深酒が覚めてきた元日の午後、近くの浅間神社に初詣。しかし閑散とした境内にはかがり火の焦げたにおいが少し残っているだけである。
この神社は、静岡平野の北のどん詰まりの山すそにあるので、北浅間といわれ、周りの沢山の社を合祀している。境内は、浅間神社をメインにして、天神社や西宮神社、津島神社、市気島神社、神明社などの小さい祠が山肌に横一列に並んでいてそれを細い小径がつないでいるだけなので、参拝者は一列になり一人ずつしか通れない。
初詣には、大晦日から年が変わる真夜中に人出があり、地元の方が甘酒などをふるまったり太鼓の演奏などもあって、時ならぬ賑わいをみせる。そのため朝方まで長蛇の列ができるが、夜明け時分にはもうさっぱり人影がない。およそ派手さのない鄙びた初詣模様がみられる。
誰も参拝者のいない社で、私も災害のないことを祈る。家族の健康を祈る。
この後、裏のミカン山を歩いた。よく晴れて遠い山々から駿河湾まで見渡せる。
「初山河」という季語がぴったりだ、と思いながら息を切らせて小一時間。季語の「初山河」の心は、初詣の心かもしれない。ひいては日本人のアミニズム的な宗教というか心情も、つまるところ「初山河」「初景色」なのかもしれない。そこで一句、
いずれ行く嶺の白さや初山河
2020年の始まりはこのようなのでありました。