薩埵(さった)峠で枇杷を齧ったこと

枇杷熟れて薩埵(さった)の海や碧深み

 

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(薩埵(さった)峠:富士山は雲で見えない。眼下に東名がはしり、この崖の急斜面が枇杷やミカンの畑。恐ろしい場所で枇杷が育つ。)

 

枇杷の季節である。

枇杷は期間が短いので、気をつけていないと、あれ?もう終わり?ということになる。それだけ季節感を鋭く感じさせるものだし、正直いうと私にとっては時の流れの速さを否が応でも感じさせるものだ。

 

いつもは近くの農家さんから電話があるので、忘れずに買えるのだが、産地に出かけて物色するのもまた楽しい。合併して静岡市編入した由比町は、枇杷の産地である。タイミングが良いと、ここで枇杷を買うことができるので、ダメもとで出かけてみた。

枇杷畑は東海道の難所でよく知られた薩埵(さった)峠の山にある。農家は、車がすれ違うのがやっとの旧東海道の狭い道筋に軒先を並べ、玄関口に棚を出したりして小売りしている。ただし物が良いものは販売ルートが決まっていて、こういうところには出ていない。

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今年は、タイミングがばっちりだった。

2,3の家をのぞいて、安くて良さそうなものを購入する。今年は、しろ枇杷も手に入った。

薩埵(さった)峠は、広重の浮世絵でもあまりにも有名で、説明の要はないだろう。

海際は埋め立てられ国道1号と東名、東海道線がひしめき合って通過している。崩れやすい所であり、国が崩落防止工事を続けている。

山の上を、車1台が通れる道があるので、そこを久しぶりに挑戦。江戸時代に朝鮮通信使を迎えるためなどで、何度かルートを切り開いたが、今でも難所である。狭い急坂にはひやひやするが、見晴らしは絶品である。駿河湾を挟んで伊豆半島まで見渡せる。

街道を歩くハイカーもちらほら。高齢女性の4人組、熟年のペアなど。JRの由比と興津間を歩くのだろう、天気が良いけれど少し暑い。

峠には数台分の駐車場とトイレが整備されていてありがたい。

ここで一休みして、買ったばかりのビワを試食。

おや、思ったほど美味くはない? 白枇杷は、これは美味い!