シカが聞く民謡「小夜の中山」(♪シリーズ ロ短調6)

寒声は河原の石も聞きながし


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(安倍川:寒声というほどのものではありませんが・・・)
 
江戸時代、東海道を下り「越すに越されぬ大井川」を渡ると、小夜の中山という険しい山道になる。西行法師が「命なりけり」と歌い「夜泣き石」の伝説が残る山である。
箱根馬子唄や小諸馬子唄は有名だが、私は、六十の手習いで民謡を習い始めて、この地にも馬子唄があることを初めて知った。
「小夜の中山節」と「日坂馬子唄」である。
いい唄はどこで唄われてもいい唄であるが、地元の風土の中で培われた地元の唄は、格別な愛着を感じさせる。歌詞をそれぞれ1番だけ紹介しておくと
【日坂馬子唄】
♪ 馬が物言うた 峠の茶屋でナー 
おさんどんなら ただ乗せる
【小夜の中山節】
♪ 小夜の中山 夜更けちゃおよしなヨー
鹿が友を呼ぶ 声ぞするなヨー
 
午後、民謡を大声で歌おうと、いつもの河原に出かけると、なんと、堤防を一頭の鹿が飛び跳ねている。あっけにとられてみていると、角がないからメスだろうか、追う人とていないのだが、ぴょんぴょんと跳ねて、堤防を降り畑を横切り、また堤防を登って、荒れた川原の草叢に姿を消した。実に軽快で尻の毛の白いのが眼に残った。