あふれるミカンを誰が摘む

みかん山ころげる先に駿河湾
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裏山が全部ミカンである。この時季は黄金の山。
農道を上ると、撤果したミカンが道のわきにたくさん転がっている。歩きながらそれを蹴ると、ころころと転げ落ちていくので、10個も20個も蹴りだして、どこまで行くか応援しながら見届ける。子どもじみているが、それが面白くてついつい夢中になる。
目を上げれば、遠くにある青い灰色は駿河湾だ。
駿河は、みかんの国だ。


例年よりも実のつきがよいように見える。ならせ過ぎの気がするほど、たわわたわわに稔っている。これが6月ころ、むせ返るほどの花のにおいを漂わせていた結果である。自然って不思議なものだ。「早生温州」はそろそろ盛りを過ぎて、12月に入ればもう「青島」のシーズンになる。
今が稼ぎ時なのだろう。軽トラが上がってきてはミカンをコンテナに取り込んでくだっていく。みんな年配のひとだ。
農道のわきで女性が二人で積み出しをしていた。一人はお婆さんで、ミカンを摘んで箱に入れている。それを軽トラまで運び積み込んで、運転するのが若い方の人、といっても当に還暦は過ぎていそうだ。
「あばあさん!、8分目?・・・いや7分目くらいにして!箱いっぱい入れると重くて運べないから」・・・大きな声が聞こえてくる。


TPPだ、グローバル化だなんていっても、結局競争力のある産物を、競争力の低い国によりたくさん売り込むことだろうから、日本では価格競争力の低い農産物にしわ寄せが来るのは当たり前のことだ。オレンジは生果も果汁も、6~11年で関税は撤廃されると聞く。ちなみに、温州みかんの出荷量をみると1975年は330万トンでこれが2012年には76万トン、実に4分の1以下になっている。品種の転換や、転作が進められたということだろうが、大きく構造改革したのだろう。330万トンというのは、大雑把に言えば、国民一人当たり33キログラムになる数字だ。正岡子規じゃああるまいし、よくそんなに食ったものだ。
とはいえ、ミカン農家がこの外圧をのりこえていけるのか、われら国民にとって多様で美味しいミカンが安価で提供されるようになるのか、心配と期待半分である。

ミカン山一つひとつを人が摘む