セミの鳴き時は?

初蝉や音をたどれど空に消え
 
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おや蝉の声だ。初蝉だ。
と遠くに聞いたのは半月ほど前。姿は見ないが、多分春ゼミのような小型の蝉なのだろう、声も小さい。
ところが今朝はもうクマゼミが何匹か鳴いている。クマゼミは、午前中のわりに早くから鳴いて、その後は少なくなる気がするがどうだろう。午後は、なんといってもアブラゼミだ。
 
去年、近くの林でヒグラシとツクツクボウシが鳴き分けているのを聞いたことがあった。それは見事なほどの鳴き分けだった。
これを停戦協定と考えると、実に潔い。そしてきっと両方に利得があるのだろう。気温や明るさなどを目安として、種によって恋の時間を分けているのかもしれない。

クマゼミが早くに鳴くのも、他の蝉との鳴き分けかもしれない。
 
中西進氏の「万葉集事典」で調べると蝉は万葉集に3首ある。そのうち2首がヒグラシと書かれている。漢字では「晩蝉」「日晩之」で、やはり千年前も鳴くのは夕方だったようだ。
 
晩蝉(ひぐらし)は時と鳴けども恋ふるにし手弱女(たわやめ)われは時わかず泣く
 (巻10 1982)
 
歌の中身については、「本当かな?」と思うけれど、
これをよむとやっぱりヒグラシは、昔から夕方を「時と鳴く」ものだったようで、恐らくそれは鳴き分けなんだろうかな、などと漠然と思った次第。温暖化などのせいか当地でもクマゼミが増えている気配だが、蝉たちもその分布が変れば、鳴き分けの条件が変るだろうから、「鳴く時」も変化することがあるのかもしれない。ヒグラシが、真昼に鳴くようにならないとも限らない。
推測の推測で、データもなにもないのでこれ以上はやめておこう。