落ち椿

落ち椿いずれ真っ赤な決断を

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落ち椿が美しい場所だというテレビ映像を見た。
それはよく手入れされた緑の苔がやや斜面になっている地面に花が落ち、花弁は転げてみな同一方を向く、すなわち斜面の下に向かって咲いているように見える、というものだった。その小径を歩けば、枝にも地面にも満開の花がみえるというわけだ。場所はどこだったか?、覚えていない。
たしかに、花の形が円錐形なので適当な斜面なら花弁が下を向くような気はする。
 
寺田寅彦が、漱石の句 「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」について、物理学者の目で書いた随筆「思い出草」はよく知られている。

椿の花が落ちるときにたとえそれが落ち始める時にはうつ向きに落ち始めても
空中で回転して仰向きになろうとするような傾向があるらしいことに気がつい」た。
そして虻が花の蕊に留まれば、花弁が空中反転する作用がいくらか減り、俯きになる可能性が高まるだろう。だから漱石の句が物理的にありうることだという内容である。

我が荒れた庭の椿はどうかと思い、見てはみたが、情けない有様なので花弁を並べなおし、写真を撮った。しかし半分以上は上を向いている気がする。

テレビでみた落ち椿についても、是非こだわる人に実験をしていただきたいものだ。