センボンヤリの風変わりな性行動

ああやっぱり不思議やなの芽生えかな
 
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一年半ほどほったらかしにしておいた鉢に、何か芽が出てきた。センボンヤリだろうか。
実は、山で見つけた、多分センボンヤリと思しき花から種を取ってきて蒔いておいたのだが、去年の春になにも音沙汰がないので絶えてしまったのだと思い、偶然そのままにしておいたのだった。実生は発芽に一年以上かかることなど、恥ずかしながら露も知らなかった。
 
で、見ていると小さいのに蕾ができて、あれよという間に咲いてしまった。
背丈はまだ5センチくらい、花もせいぜい1センチしかない。本当にセンボンヤリなのか?
調べてみると、センボンヤリには春の花と、秋の花があるという。秋の花は、名前をすぐイメージできるような槍が突っ立っている有様をしている。だが、形が違う春の花があるということは、改めて図鑑を見て納得した。それがこの小さな白い花なのだ。
 
この春の花は、小さいたんぽぽのような形をしたキク科のいわゆる花らしい花である。だが、いかにも頼りないので結実するのかどうか、ネットを調べてもはっきりしない。逆に秋の花は長い槍の先に紡錘形の花をつけ力強いのだが、この花は閉鎖花といい開くことがなく、自家受粉して結実する。

いわば一年で二度、顔を変えて異なった性行動をするわけだ。
 
花開く開放花と開かない閉鎖花が共存するのは、ホトケノザなどがその例だが、センボンヤリのように季節を分け、形も極端に異なるのは、珍しいのではないだろうか。
春先の幼い性ではおぼつかないので、秋にそれを補って自家受粉するのだろうか。また春の開花時に他の個体から遺伝子を取り込み、それを何らかの形で秋の結実にも引き継いでいるのだろうか。
 
生物の性は区分が曖昧なことが多々あり、魚も貝も容易に性転換をする例がある。彼らは必要に応じて性を変えていく。センボンヤリにも何か必要があって、二種の様相の違う性行動をしているのだろうが、一体どういう事情が絡んでいるのだろうか。
昔、人生2回結婚説という珍説が一時流布したことを思い出す。

ともあれ、秋のために少し鉢を大きくしてようすを見るつもり。