クレーの「母と子」に寄せて

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今年も母の日がくる。
パウル・クレーの絵に谷川俊太郎氏が詩をよせた、「クレーの絵本」という画詩集をみた。
クレーの絵は全部で40点掲載されているが、その最後がこの「母と子」(1938年)。
まるで神話のように単純で不動で、そして愛と遊びがある。一体どういう眼で見たら、母と子がこのような姿に描けるのだろうか?
この絵には俊太郎氏の詩がついていないのだが、じっと見ていたら言葉が浮かんできた。拙い言葉で画詩集を汚して申し訳ない気もするが、記しておく。

ある日のこと
あなたはお母さんの子どもになった
あなたの命の一本の線は
あなたのお母さんの命の一本の線
あなたはしっかりと抱かれて
ちょっと
困ったような顔をしていたね
 
またある日のこと
あなたは子どものお母さんになった
あなたの命の一本の線は
あなたの子どもの命の一本の線
あなたはしっかりと抱いて
ちょっと
遠くを見ていたね
 
そしてきっとある日のこと
あなたの子どもはお母さんになり
あなたの子どもの子どもをしっかりと抱いて
ちょっと
遠くを見るに違いない
 
母と子どもの命は一筆書き
 
こんな自然なことが
不思議に思える
こんな不思議なことが
自然に思える