カマキリや半日かけてバッタ喰う
13:30ころ
午後の玄関脇でこんな事件の一部始終につきあった(暇だね!)。先日私が片付けたゴーヤの藪に棲んでいた彼女が、自分より大きいおんぶバッタを捕まえている。左の鎌がバッタの胴の中央部を潰れんばかりに挟んでいる。既に右側の大きな後ろ脚をあらかた食いつくし、今はその根元あたりに食いついている。ごりごりと音が聞こえる気がする。バッタは必死に逃れようと、50センチもカマキリを引きずったが、彼女は絶対に離さず、その間も貌をくねらせながらむしゃぶりついている。私が近づいてもまったく知らぬ顔で食事である。堂々としたものだ。
15:30ころ
太い脚を食い終わったのか、次はいよいよ胴体。背のほうから噛んだり腹のほうから噛んだりしていたが、やがて貌がバッタの腹に半分ももぐっていく。それでもまだバッタは足を動かしている。だが表情がないので平気なようにも見える。
16:45ころ
暗くなった8時ころ、ライトをつけてみると、もう彼女の姿は見えなかった。これだけ食べ残し。さすがに全部は食べ切れなかったか?
20:00ころ
見ていると残酷にも思えるが、あくまでもカマキリは生きるために食べているのであって、それだけに厳粛でさえある。
カマキリといえば山口誓子の句「かりかりと蟷螂蜂の㒵を食む」が良く知られている。だが私は以前から、この「かりかり」という擬音には違和感をかんじていて、本来もっとゴリゴリした濁音だろうと想像していたが、今日見ていて「ゴ」と「コ」の間くらいの音かなとおもった。きっと「かりかり」は誓子の心が聞いた音なのだ。
とにかく、これで彼女も産卵の準備ができただろう。