♪シリーズ ロ短調

筏流し唄-1

時雨るや山の湯宿に客ひとり 冬の安倍川上流の流れ 句は最上流の梅が島温泉で 東北地方と違って、ご当地駿河には「民謡」はすくない。もちろんかつて、たくさん有ったのだがメジャーにならず忘れ去られた。そんな中にあって、リメイクされながら細々民謡仲間の…

菅原洋一さん81歳

寒風や古老のシャンソン聴きし夜 福祉事業に携わる知人の誘いで、チャリティーコンサートにでかけた。唄うは菅原洋一さんで、御歳81歳である。そんな年齢とは思えない堂々たる声で、会場をうならせた。聴衆はお世辞にも若いとはいえない世代が主だったが、…

フォレスタ・・・こころの歌

寒声や女の口から白き風 ある高校のイベントに参加して「フォレスタ」のコンサートを楽しんだ。BS日テレのこころの歌で馴染みの方も多いだろう、日本の歌を奇をてらわずさわやかに歌う実力のあるグループである。期待にたがわず素直な歌声、絶妙なハーモニー…

グレン・グールドと漱石

カナダのトロントはピアニスト、グレン・グールドの生涯の地である。過日トロントを訪ねた妹からの写真を見て知ったのだが、ここにはグールドスタジオがあり、グールドの像もあるようだ。像の写真を見ると彼は結構大柄だ。演奏するときの屈んだ奇妙な姿の印…

ポポイ・・・または変なオペラ

友人に誘われ「ポポイ」という変わったオペラを観た。本邦2度目の公演というレアな舞台で、会場は静岡のAOIホールである。 原作は倉橋由美子の同名の小説で、台本・作曲は間宮芳生、演出は宮城聰。指揮は寺嶋陸也で3月に彼の作曲になる「「無一物の生」-…

星形の庭または信州の五稜郭の夢

花はまだ咲かずや佐久の五稜郭 五稜郭といえば函館をおもうだろうが、日本にはもう一つ、信州にある。 佐久市田口という田舎にある「龍岡城五稜郭」がそれで、今は堀と御台所の建物だけが残されていて、堀の中は田口小学校となっている。城を築いたのは、大…

春はクラリネット(♪シリーズロ短調10)

春の宵クラリネットに指白し いつも古楽ばかり、偏向して聴いているので、クラリネットはあまり聴いたことがなかった。 半年ほど前、CDでウェーバーのクラリネット五重奏曲を聴いて、その不思議な魅力に、いまさらながら驚かされた。演奏はポール・メイエの…

良寛によせて、今(♪シリーズロ短調9)

春の街を呑んで海底冬のまま 童と遊ぶ良寛さん像(新潟県国上山) 3月11日。 箏、聲明、能、狂言。日本の伝統芸術を総合した不思議な舞台「良寛によせて、今」を観た。プログラムは、次の2本。 吉川和夫作曲「手毬~月の兎」ー箏弾き歌いと狂言の語りによ…

失われたものへの歌(♪シリーズロ短調8)

寒声を水は聞くやらさんざめき 先日、「歌うという行為は、何なのだろうね。誰もいない石の河原に立って、生理的な快感に似た何かに包まれながら私は、音痴の高音に繰り返し挑戦する。」と書いたばかりだ。 ずいぶん昔の本だが、團伊玖麿と小泉文夫の対談で…

冬の川に唸る(♪シリーズロ短調7)

さこさこの湍(せ)を集め来て冬の川 冬の川は水が少ない。写真に見える新東名の安倍川橋は長さ約700m強であるが、それでも大きい川なので、まだ数条の流れをしっかり確保している。 土手沿いの細い流れに沿って歩いていくと、野草の緑が冬の陽に輝いて眼に…

シカが聞く民謡「小夜の中山」(♪シリーズ ロ短調6)

寒声は河原の石も聞きながし (安倍川:寒声というほどのものではありませんが・・・) 江戸時代、東海道を下り「越すに越されぬ大井川」を渡ると、小夜の中山という険しい山道になる。西行法師が「命なりけり」と歌い「夜泣き石」の伝説が残る山である。 箱…

フランス・ブリュッヘン氏逝去(♪シリーズ ロ短調5)

ブロックフレーテの名手、フランス・ブリュッヘンが先月なくなった。79歳。ご冥福をお祈りしたい。 ブリュッヘンは、最近は笛は吹かずに古楽器の18世紀オーケストラの指揮者として何度も来日しているが、やっぱり私にとってはブロックフレーテ吹きである…

サクラと民謡の考察?(♪シリーズロ短調4)

健康?のために民謡のクラブに入って半年。民謡には素朴な労働歌あり、しゃれたお座敷歌ありで実に多様な叙情の世界が広がっていて、いろいろ気づかされることがある。 ちょうどサクラの季節だから、サクラに関連した民謡はないか?コブクロや森山何某君が3…