2018-01-01から1年間の記事一覧

名句に教わる-3 虚子(鎌倉を驚かしたる余寒あり)

寒戻るだからいわんこっちゃない 高浜虚子に次の句がある。 鎌倉を驚かしたる余寒あり(大正3年:虚子40歳) 当時虚子は実際に鎌倉に住んでいた。 だから実際にびっくりするような余寒が鎌倉を見舞ったのかもしれない。とすると一見、この句は事実そのままを…

花のオペラの開幕

キャスト多き春やオペラの幕が開き (手前は白梅、奥に河津桜:静岡市由比町で) いよいよ春の花シーズンです。 せまい庭にごちゃごちゃ植えた花たちが、目を覚まし始めました。 雑草のセントウソウ、フラサバソウが咲いています。 馬酔木は満開。ヒイラギナ…

春の巫女

白足袋の舞殿に軽し春の巫女 (清沢神楽 小学生の順の舞い) 静岡浅間神社で催された「大神楽祭」をみてきた。 神楽といえば、冬の神事で古いお堂の中というイメージだが、梅の香の漂うような春の日差しの中で乙女が色鮮やかな袂を振って舞うと、本当に晴れ…

白菜 なぜ巻かない?

白菜の玉結ばぬが愛おしき 家庭菜園を楽しんでいる友人が、冬菜をいろいろ持って来てくれた。採りたて野菜はやっぱり美味いし、今年は野菜が少なくて異常な高値なのでありがたい。 で、写真はそのうちの一つ。直径が50cmじゃ利かないほどに大きい。 これが白…

樹木の花を3句

暖かい日はついつい庭で土いじり。花芽木の芽に一喜一憂。オリンピックもそっちのけ。 最近、植物への親密性が、歳とともに増している気がする。 生命樹によれば動物も植物も命の誕生した当初は同一で、あるときから別の進化の道をたどったのであるから、人…

ルノワールの「洗濯女」と妖怪

ルノワールの「小さい洗濯女」 シュテーデル美術館 JR静岡南口に、ルノワールの彫刻が2体あることは、以前ブログに書いたことがあるが、その一体は「洗濯女」で、屈んで片膝をたて洗濯物を手にした裸婦像である。 (参考:https://blogs.yahoo.co.jp/geru_s…

今年も節分草がきてくれました

三寒あれど四温なき日々セツブンソウ ちょっと乙女風にいえば、2月の風が吹き始める頃、必ず来てくれる私の小さな妖精。この律儀さ、このつつましさ。けれど侮ってはいけない。植物学者はいう。白い花びらは、本当はガク。花びらを、黄色い蜜腺に変えてしま…

ドボルザークの歌劇「ルサルカ」水の精とは?ー4

5 水の精は、つねに美しい乙女だというわけではない。 現に、ルサルカについては 「ロシアや東ヨーロッパの民間伝承に登場する、淡水に住む精霊。ロシア南部では彼女たちは長い金髪を持つ美しい乙女として描かれ、透き通った白い服をまとっていることもある…

ドボルザークの歌劇「ルサルカ」水の精とは?ー3

4 アンデルセンの人魚姫は、泡になってしまうのだが、そこから想起するのは、青木繁の「わだつみのいろこのみや」の絵である。 この絵は、日本神話の海幸彦山幸彦の一場面を描いたもので、山幸彦が兄海幸彦の釣り針をなくして、それを探しに海の宮に今し降…

ドボルザークの歌劇「ルサルカ」水の精とは?ー2

2 水の精と王子の恋と破綻という物語は、さまざまなバリエーションで西洋各地に伝えられていたようだが、われわれがよく知るものは、フーケの「水妖記」、ジロドゥの「オンデーヌ」、水の精ではないがアンデルセンの「人魚姫」などがある。(逆に言えば私は…

ドボルザークの歌劇「ルサルカ」水の精とは?ー1

開演前の舞台 1 静岡でドボルザークのオペラ「ルサルカ」を観る機会があった。 ドボルザークといっても、「新世界から」とか弦四「アメリカ」くらいしか知らないので、いったいどんな歌劇なのか興味津津だったが、期待に背かないもので、ラストシーンなどは…

名句に教わるー2 (池田澄子:人類の旬の土偶のおっぱいよ)

おっぱいとあそんでねむる日なたぼこ (縄文のビーナス:お尻は大きいが胸はこんなもの) 池田澄子さんにこんな句がある。 人類の旬の土偶のおっぱいよ 土偶のおっぱいというと、まっさきに「縄文のビーナス」が浮かんでくる。長野県の尖石遺跡の国宝。ほぼ…

名句に教わるー1(蕪村:斧入て香におどろくや冬こだち)

冬の樹や幹ふくらみて豊かなり 冬の木というと、枯れて蕭条としたイメージが定番だが、実はそんなことはないのだ。多分動物と同じで、秋にたっぷりと栄養を溜め込んで、冬は暖かい脂肪に包まれて、じっと冬芽を育て春の準備をしているのだろう。 蕪村に、 斧…

“Nippon and America all the same” ?

振袖にとんずらされて春を泣く 貸衣装屋が、成人式当日雲隠れした。 福袋をアルバイトを使って買いあさり、転売する中国人らしきもの。 カヌー選手がオリンピック出場に選考されたいと友人に禁止薬物を。・・・また今年も3面記事が動き出している。 朝鮮半島…

吉野の葛湯を一杯

何処の産か本物かと言い葛湯吹く 正月そうそう喉風邪を引き込んで、声が出ない。 暮にポイント交換でもらった葛湯があることに気づいて、いれてみた。 ほのかにショウガなどの香りもして、じつに和らいだ気分にしてくれる。子どもの頃,熱で食欲がないとき、…

1月1日のバッハは

新年にはやも飽きたる三日かな (聖トマス教会を裏から) お節にも飽きて、静かな時間がもどってきたので、バッハのあまり聴かない曲をひっぱりだす。新年なので、バッハが1月1日演奏した曲を、と思って探し始めると、次の表になった。(参考 バッハ事典:監…