New野の花365日

センボンヤリの風変わりな性行動

ああやっぱり不思議やなの芽生えかな 一年半ほどほったらかしにしておいた鉢に、何か芽が出てきた。センボンヤリだろうか。 実は、山で見つけた、多分センボンヤリと思しき花から種を取ってきて蒔いておいたのだが、去年の春になにも音沙汰がないので絶えて…

おれは春の餓鬼なのだ

春の餓鬼楤独活屈漉油(はるのがきタラ ウド コゴミ コシアブラ) (タラとコゴミ) 難読漢字みたいな句になったが、いずれも山菜。今がまさに旬だ。 タラは庭に2本の木が伸びていて芽吹き、早速頂戴した。 コゴミは隣家の親父が秘密の場所から毎年収穫して…

落ち椿

落ち椿いずれ真っ赤な決断を 落ち椿が美しい場所だというテレビ映像を見た。 それはよく手入れされた緑の苔がやや斜面になっている地面に花が落ち、花弁は転げてみな同一方を向く、すなわち斜面の下に向かって咲いているように見える、というものだった。そ…

ヤブカンゾウを食べてみる

春の野辺草つむ人の遠近(おちこち)に のどかな春の陽射しに誘われて堤防を歩くと、法面に草たちの芽吹きが始まっていた。あんなに待ち焦がれていた春が、いとも易々と一度にやってきてしまった。草たちも幾分あわてているようだ。 かがんで何かしている人…

花のオペラの開幕

キャスト多き春やオペラの幕が開き (手前は白梅、奥に河津桜:静岡市由比町で) いよいよ春の花シーズンです。 せまい庭にごちゃごちゃ植えた花たちが、目を覚まし始めました。 雑草のセントウソウ、フラサバソウが咲いています。 馬酔木は満開。ヒイラギナ…

樹木の花を3句

暖かい日はついつい庭で土いじり。花芽木の芽に一喜一憂。オリンピックもそっちのけ。 最近、植物への親密性が、歳とともに増している気がする。 生命樹によれば動物も植物も命の誕生した当初は同一で、あるときから別の進化の道をたどったのであるから、人…

今年も節分草がきてくれました

三寒あれど四温なき日々セツブンソウ ちょっと乙女風にいえば、2月の風が吹き始める頃、必ず来てくれる私の小さな妖精。この律儀さ、このつつましさ。けれど侮ってはいけない。植物学者はいう。白い花びらは、本当はガク。花びらを、黄色い蜜腺に変えてしま…

サザンカとツバキと

山茶花や赤くこぼれて白もまた (赤い山茶花) 山茶花が盛りを超えて、季節は次第にツバキに移っていく。山茶花は冬の季語で、ツバキは春の季語となっている。まだまだこれから冬本番だけれど。 句の解説をするのは恥ずかしいが、碧梧桐の有名な句 赤い椿白…

ヒサカキの臭い?

乙女らの眉寄せ行くやヒサカキの花 近くの学校のわきを通ると、何か臭い。 かすかに下水のような、質の悪い蠟のような(そんなものは知らないのだが)、要するに余りいい臭いではない。 もしかしたらヒサカキかな、と思ってのぞくと、案の定植え込みはヒサカ…

花野のたくましい花たちー3

前世も花野のここに居たような 秋の野に蔓延る(はびこる)草たち3種をフォーカス。 ナヨクサフジ(マメ科) 色がきれいで目をひくが、最近増えてきた気がする。一応ナヨクサフジとしておくが、ツルフジバカマ、クサフジというよく似たものがあるので、正確…

葛とキツネ (花野のたくましい花たちー2)

葛の雨花もケモノも葉の陰に いま、河原は堤防から川岸まで一面のクズの葉の海。こういう原っぱを「真葛原」という。 クズの原に足を踏み入れると、甘い香りが漂ってくる。粗野なツルと葉からは思いもつかない上品な香りである。花はどこかと、あたりを見回…

花野のたくましい花たちー1

ひとり来てひとり暮れゆく花野かな 静岡は、つい先だってまでの蒸し暑さが嘘のように、爽やかな涼しい空気に覆われてきた。 野原には多くの可憐な花たちが咲き始め、虫の声が途絶えることなく聞こえている。 野原を席巻しているのは、つる性の草たちだ。夏か…

小さいコミカンソウの花(小蜜柑草:トウダイグサ科)

夏草に負けて独りの古家かな (20~30センチに位にはなりそう) いくら取っても家の周りに生えてくる、なかなかしつこい雑草である。 触っても閉じないから、オジギソウでないことは分る。 小枝の下に並んでいる粒粒が、ある種のシダ類の胞子嚢にみえて、私…

水草の花(オオカナダモ)

藻の花のしたに雷魚の背びれあり (大きさは1センチ程度、たよりない風情である) オオカナダモは、カナダではなくてブラジルなど南米の原産であり、一時日本でも爆発的に増えた。琵琶湖などもひどかったようだが、わたしの近くにある池も同様だった。 ヒシ…

やぶかんぞうの色

空には火輪(ひ)原には熾(お)き火藪萱草(やぶかんぞう) (土手から採取して庭に鉢植え) 堤防や河川敷の緑が、一段と濃くなったが、その中にまるで炭の熾き火のように赤いものが点々と見える。ヤブカンゾウだ。 暑苦しい時節に、遠慮なく暑苦しい色で咲…

ねむの木 濡れて

昨夜の雨合歓を泣かせて上がりけり (よべのあめねぶをなかせてあがりけり) 台風一過の朝。でもまだ雲が厚い。合歓も濡れているだろう。 合歓はマメ科だというのだが、どこでどう間違ったのか、とてもそうは思えない形をしている。妖艶、婀娜なとでもいおう…

日本海のハマヒルガオ  (ヒルガオ科)

浜昼顔海越えゆけばハバロフスク 夕日が美しいことで人気のある、島根県出雲市の「道の駅 キララ多岐」に立ち寄った。すぐ下の海岸に下りてみると潮風が爽やかで、足下にはハマヒルガオが一面に咲いていた。 日本全土、というより「世界中の海岸に広く分布す…

チューリップの雨

芽の奥にひかり三月雨の朝 寒い雨のあとの日の光は、体の緊張がほぐれるような暖かさだ。伸びはじめたチューリップの葉芽の奥に、雨がたまっていて光っている。我が家のチューリップもようやく花の色が現れはじめた。 チューリップというと、富山の砺波平野…

ツタンカーメンが満開

風要らぬ虫も要らぬと花えんどう (えんどうは、自花受粉で自分のDNAを再生産する それを説明しただけの俳句) 友人らといっぱい飲んでいたら、ある男が 「今度、美術館にツタンカーメンが来るようだね」 すると美術に詳しいやつが 「ツタンカーメンが来…

ものの芽を3種

それぞれの宇宙樹めざす芽生えかな これは、芍薬の芽だけど。 既にしてあたりを払う牡丹の芽 これはオオバギボウシだけれど。 鬼の子のいま生え初むる牡丹の芽 これはシラン。もう伸びた。 生いさきを蔵(かく)しものの芽固きまま 今日は、庭の花の芽ぶきそ…

ムサシアブミの不思議なデザイン

枕もと浦島草を活けてけり (子規 :明治28年) 浦島草は、テンナンショウの仲間。ムサシアブミとは兄弟みたいなもの。 (句によれば、子規は枕もとに、浦島草を置いていたようだ。好奇心旺盛な子規らしい。 あやかって、私はムサシアブミを) ムサシアブ…

クリスマスローズの正体は

ほくそ笑むクリスマスローズはうつむきて 花は下を向いているものが多かったが、最近は改良が進んで顔を上げてきた。うつむき、などと気弱な表現をしたが、結構したたかにあちこちから芽を出してくる。 私は以前からこの花に、信用がおけない感じをぬぐい得…

ムサシアブミのロケット発射(サトイモ科)

角ぐむや命ロケット発射前 鉢のムサシアブミが、何を勘違いしたのか今年はもう葉を広げてきた。 庭で角のような芽を10cmほどに伸ばし始めたので、少し早すぎるなと危ぶみ室内に取り込んだのだが、その後も見る見る伸び上がって18cmに届いてきた。 で、…

リュウキンカ 火をつけたよう

リュウキンカ野に春の陽を点火する 庭の鉢植えのリュウキンカがもう満開を迎えた。この花は高原の湿原などではよくミズバショウと一緒に咲き、ピカピカした黄金色の花弁は昔の一年生の金ボタンのようである。この花が咲いていると風景が明るく感じられる。 …

節分草が咲いた

セツブンソウおずおずと地の使者来たる 不思議なほど、ぴったりと節分に暦をあわせて花が来た。その律義さにつくづく感心する。 つぼみは数日ためらったようにしていたが、日差を浴びてやっと開いた。慎重である。 花弁のように見えるのは、実はガクであって…

スイセンの香り・・・ヘッセの詩から

水仙花今日の確かな雪消かな (ヘッセの水彩画) スイセンの香りは ほろ苦いけれど 優しい それが土の匂いとまじりあい なま暖かい真昼の風に乗って もの静かな客人のように窓から入ってくるときは。 私はよく考えてみた・・・・・・ この香りがこんなに貴重…

万葉集のモミジは黄色?

散り敷いてさあ踏んでください山紅葉 少し足を伸ばして浜松市の浜北森林公園へ紅葉を見にいった。広大な自然の森がひろがり、標高は高くないがまあまあの紅葉がみられた。鮮やかな色の葉はいずれもカエデの仲間であろう、その赤、紅、黄の微妙な配色の世界は…

暗いところが好き=キチジョウソウ(ユリ科)

暮れ早し吉祥草(キチジョウソウ)は無口なり 日当たりの悪い庭の、その一番悪い場所にキチジョウソウを植えたのはもう10年もまえのこと。地味なのでほとんど気も遣わないでほったらかしだが、しっかり生息している。たまたま庭木の枝を切ろうと木下に入った…

アシもいろいろ(イネ科は苦手4)

取り立てて言うことでもなし葦の花 アシ(ヨシ) アシは古来和歌にもたくさん歌われている。万葉集には50首で、意外だがススキの47首を上回る(尾花、カヤを含む)。数としても多いのは、身近によく目にとまり、簾や屋根など昔の生活には欠かせないものだっ…

タデの花3種

赤ままや野球ぼうずが踏みしだき 3年ほど前、道端に見事に群れ咲いていたイヌタデをみつけ、持ち帰って平鉢に盛り込んだのだが、翌年は周りに逃げ出してしまった。ところが今年、どうした訳か自分の方からその鉢にはいり込んで咲いてくれた。それがちょうど…