2015-01-01から1年間の記事一覧

ザゼンソウは残雪の中(サトイモ科:New野の花365日)

やまんばの爪ぬけ落ちてザゼンソウ なかなかタイミングが合わなくて見れない花がある。私にとって座禅草がそんな花だった。座禅草は、雪解けの3月末から4月はじめ頃に奥山の湿地などで咲く。しがないサラリーマンはその時期は年度末年度初めでせわしく、花…

あんたが毛虫

這い出した毛虫となりて春を食う 出たばかりの木の芽に黒い毛虫がたかって食べている。フシグロセンノウの新葉をナメクジが舐め取っている。これらを目敏く見つけて処分する。 せっかく出たばかりの葉を、食べてはいかん! そしたら、隣の家から初物のタケノ…

ヒメウズの花(キンポウゲ科:New野の花365日)

息とめて息を止めて姫ウズの花 ひょろっとした茎に下向きの小さい花をつける。花は4、5mm程度。白く見えるのはガクで、中心の黄色っぽいのが花。 何しろ小さい花で、茎も低く、しかも下を向いているので、写真には撮りにくい。そのため、息を止めている…

大根の花(New野の花365日)

食べなければ花もやさしき大根かな あんまり見事な大根花が咲いていたので、しばらくうっとり見とれてしまった。大根自体が太くて大きくて立派なので、薹も立派だし、何よりも花が白く豊かでやさしかった。食べ慣れた大根がきれいな花であることに改めて驚き…

春はクラリネット(♪シリーズロ短調10)

春の宵クラリネットに指白し いつも古楽ばかり、偏向して聴いているので、クラリネットはあまり聴いたことがなかった。 半年ほど前、CDでウェーバーのクラリネット五重奏曲を聴いて、その不思議な魅力に、いまさらながら驚かされた。演奏はポール・メイエの…

mosoっと柳が芽吹く

mosomoso柳きみどりを吐いている 川辺の柳が、いっせいに芽吹いてきた。 薄緑色になる直前は、黄色の強い色である。(ヒワイロという伝統色があるが、そういう色に近いのかもしれない。)その色は数日で薄緑色になっていってしまう。この不安定な黄色が、い…

もくれんと木喰仏(風景の中へ35)

微笑仏の頬もくれんの花開く 藤枝市岡部町を走っていたら、十輪寺:モクレンの寺、という看板が出ていたのでついつい誘われ寄ってみると、境内をはじめ全山400本というモクレンが、文字通りいまを盛りと咲きほころんでいて、じつに壮観だった。これほどの…

ツタバウンラン(オオバコ科:New野の花365日)

百千鳥ざざめくほどに山しずか 蜜柑の小山をウォーキングすると、早くも梅は散って、早咲きの桜なども満開を過ぎてしまっている。ウグイスが盛んに鳴き、その他名も知らない鳥たちが大騒ぎ。本当に賑やか。 途中で、今まで知らなかった野草に出遭った。 ミカ…

良寛によせて、今(♪シリーズロ短調9)

春の街を呑んで海底冬のまま 童と遊ぶ良寛さん像(新潟県国上山) 3月11日。 箏、聲明、能、狂言。日本の伝統芸術を総合した不思議な舞台「良寛によせて、今」を観た。プログラムは、次の2本。 吉川和夫作曲「手毬~月の兎」ー箏弾き歌いと狂言の語りによ…

花にも空にも飛ぶもの賑やか

花馬酔木(はなあしび)メジロ隠してくすくすと 風もないのにアシビの花が揺れていたら、たいていメジロかヒヨドリの仕業だ。メジロは花のおちょぼ口の一つひとつにくちばしを差し込んで蜜を吸っている。人の気配に気づかぬほど真剣に吸い回っている。頑張っ…

薹(とう)が立って何が悪い

薹(とう)立てて野菜も草だと威張りだし 庭のプランターの何か野菜も薹を立てた あちこちの畑で、霜にやられてつぶれた白菜から、立派な花茎が立っていた。 いわゆる「薹が立」っていた。 「薹が立」つというと、マイナスイメージがあるが、生き物にとって…

日向の七草祭り(シリーズ一の宮へ)

舞い役の舞 静岡の町から藁科川に沿って約30キロをさかのぼり、南アルプスに連なる山あいに日向という集落がある。旧暦1月7日(平成27年は2月25日)に、ここの福田寺に田遊び祭りがあるので、今年初めて伺った。 祭りは午前中に「日の出の祈祷」があるが、私…

春がこっちを向いた

土手青み老婆ひすがら独り言ち (土手のコハコベ) ぽかぽか陽気に誘われて、裏山を歩いた。昨日は20度を越え今日は18度になるという。下草が萌えるという季節が、いっきに過ぎ去りもう春の草が溢れていた。たんぽぽ、はこべ、ほとけのざ、いぬふぐりが一面…

啓蟄には早すぎ

啓蟄や這い出たばかりを殺さるる 夜中に目覚めトイレに立とうとしたら、部屋の隅に黒いものがある。眼鏡をしていないので、ぼんやりとしか見えないが、何か異物にはちがいない。照らしてよく見ると、 なんと、ゴキブリだった! まだ啓蟄には少し早い。 動き…

春の水

春の水シリア砂漠に溢れゆけ 日一日の言葉どおり、昨日より今日、陽の輝きがまばゆくなり空の色は濃く、野面に霞がたつような気配がしてくる。そして今日よりは明日。 などと詠嘆しても、なんのことはない、次の新古今の歌を追認しただけのことである。この…

豊橋の鬼祭り(番外:一の宮へ)

春の鬼暴れ疲れて俯きたり 天狗と争う赤鬼 春めく陽射しに誘われて、少し遠出のドライブをかねて、豊橋の安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)の鬼祭りを見に行った。神楽・田楽などに古い形が遺されており、国指定の無形文化財である。例年2月10日…

セツブンソウが開いた(キンポウゲ科)

みぞれ雨止みて梢に薄日射し節分草のそと咲き始むる 我家のスプリングエファメラル。 年々小さくなっていってしまう。なかなか上手く育てられない。 慎重な雪割草(ミスミソウ:キンポウゲ科)も、パッと眸をあけた。 気をもたせただけのことはあり、輝くば…

河津桜が開いた(New野の花365日)

初桜野面かなたに立小便 河津桜といえば、開花が早く、伊豆の先端にある河津町が観光名所として有名だが、立派な並木が、静岡市の安倍川沿いにある。堤防沿いに1キロ近く連なっていて、満開のときには結構な人出で賑わいを見せる。桜の木一本ずつに、いわば…

世界のお化け

イスラム国人質事件でこの数日は気が重く、我流俳句をひねる気も起きなかったのだが、これは長期化かなと思った途端の殺害ニュースだった。後藤さんに哀悼の意をささげます。 一体このお化けみたいな連中は何なのか?なにが不満で、日本に何をしようとしてい…

臆病なユキワリソウ(New野の花365日)

日脚のぶ一駅前で降りてみむ 臆病なユキワリソウ 日が伸びて、いろいろな花が咲き始めた。スイセンはあちこちで満開だし、ウメもひらいてきた。園芸のサクラソウもほぼ満開だ。 私の庭でも、真っ先きってリュウキンカが黄金の花びらを開いて春めいた陽の光に…

安藤忠雄氏の9.11墳墓プラン

マララさんの眸は深々と冬銀河 (墳墓のプラン:ネットから拝借) イスラム国に日本人が人質となっている事件で、私も心が落ち着かない。組織的力から一人命を守るということが、日本という国が総力を挙げてもこれほど困難なことなのかと改めて考えている。…

失われたものへの歌(♪シリーズロ短調8)

寒声を水は聞くやらさんざめき 先日、「歌うという行為は、何なのだろうね。誰もいない石の河原に立って、生理的な快感に似た何かに包まれながら私は、音痴の高音に繰り返し挑戦する。」と書いたばかりだ。 ずいぶん昔の本だが、團伊玖麿と小泉文夫の対談で…

冬の川に唸る(♪シリーズロ短調7)

さこさこの湍(せ)を集め来て冬の川 冬の川は水が少ない。写真に見える新東名の安倍川橋は長さ約700m強であるが、それでも大きい川なので、まだ数条の流れをしっかり確保している。 土手沿いの細い流れに沿って歩いていくと、野草の緑が冬の陽に輝いて眼に…

アンコール遺跡のリンガ

私はヒンズーの神についてまるで知識がないのだが、リンガとヨニの形象について感ずるところがあったので、一の宮の番番外編としてアップする。「一の宮参拝記」は、別のwebでシリーズで掲載しているものだが、ホームページの管理が上手くいかないので、当座…

七草はパックで

デパ地下の七草パックに行列し (スズナ:蕪を描いてみた) 正月からの連続儀式として、七草粥を今年もいただいた。七草はスーパーのパック商品。生産地は、と見れば愛媛県西条市とある。フードマイレージが大きい!しかも栽培ものなのだろう、アクが全くな…

ひめはじめとは?

新年に二年酔いして突入す 何で今日が、1月1日で、正月なんだろう、と馬鹿らしい疑問をずっと持っていたが、たまたまカンボジアでガイドに聞いたら、正月は4月!なのだそうだ。そういえばアジアにはテトとか旧正月とかの言葉があることに気がつく。 何でこの…