2017-01-01から1年間の記事一覧
夏草に負けて独りの古家かな (20~30センチに位にはなりそう) いくら取っても家の周りに生えてくる、なかなかしつこい雑草である。 触っても閉じないから、オジギソウでないことは分る。 小枝の下に並んでいる粒粒が、ある種のシダ類の胞子嚢にみえて、私…
蓮(はちす)という信濃の駅を行過ぎぬ 長野市から出たJR飯山線は、千曲川に沿ってうねうねと走り約30キロで飯山市に入る。私の故郷である飯山は、奥信濃の人口3万人を切りなお減少に悩む町だが、長野北陸新幹線が止まることになり駅舎が田舎に不似合いな…
初蝉や音をたどれど空に消え おや蝉の声だ。初蝉だ。 と遠くに聞いたのは半月ほど前。姿は見ないが、多分春ゼミのような小型の蝉なのだろう、声も小さい。 ところが今朝はもうクマゼミが何匹か鳴いている。クマゼミは、午前中のわりに早くから鳴いて、その後…
藻の花のしたに雷魚の背びれあり (大きさは1センチ程度、たよりない風情である) オオカナダモは、カナダではなくてブラジルなど南米の原産であり、一時日本でも爆発的に増えた。琵琶湖などもひどかったようだが、わたしの近くにある池も同様だった。 ヒシ…
空には火輪(ひ)原には熾(お)き火藪萱草(やぶかんぞう) (土手から採取して庭に鉢植え) 堤防や河川敷の緑が、一段と濃くなったが、その中にまるで炭の熾き火のように赤いものが点々と見える。ヤブカンゾウだ。 暑苦しい時節に、遠慮なく暑苦しい色で咲…
昨夜の雨合歓を泣かせて上がりけり (よべのあめねぶをなかせてあがりけり) 台風一過の朝。でもまだ雲が厚い。合歓も濡れているだろう。 合歓はマメ科だというのだが、どこでどう間違ったのか、とてもそうは思えない形をしている。妖艶、婀娜なとでもいおう…
サクランボ無垢という罪深きもの (器は、石見の国温泉津の森山焼。 先日窯まで行ってきました) 少年の前歯するどし青ブドウ (軒先のデラ。今日から袋かけ、これがまたひと手間) 干し梅に添い寝の人も熟れていく (今年は梅が不作だそう。何とか手に入れ…
所在地 島根県出雲市大社町杵築東 祭 神 大国主大神(おおくにぬしのおおかみ) 参拝日 平成29年5月 さて出雲大社に参拝したが、さすがに雄大で厳かな社殿には感動させられる。 瑞垣の周りをめぐるとややストイックな屋根のラインや色合いが実に静謐で美…
所在地 島根県松江市八雲町 祭 神 熊野大神櫛御気野命(くまのおおかみくしみけぬのみこと) 参拝日 2017年5月 今回出雲の国を訪ね、数日間だけだが、小泉八雲の言う「神の国の首都」の空気を吸ってきた。 出雲の一の宮を2回に分けて記録する。 古代出雲と…
銅剣のまばゆき神の光をば斎き幽せり出雲神原 (銅剣のまばゆいばかりの光) 出雲の謎の一つが大量に出土した青銅器だろう。 青銅器というと、ヒミコの銅鏡が銀白色に輝いていたイメージがわくのだが、出雲に行って見て、おどろいた。燦然と黄金色に光り輝い…
祝昇格きのうは糞できょう柚子坊 (中央の葉にちょこんと付いているのが柚子坊:今朝) 昨年の冬に鉢植えした柚子の苗が、みずみずしい若葉を広げ始めた。 とおもったら、アゲハの幼虫が二匹、ちょこんと付いているのに気がついた。 まだ写真(下)のような…
浜昼顔海越えゆけばハバロフスク 夕日が美しいことで人気のある、島根県出雲市の「道の駅 キララ多岐」に立ち寄った。すぐ下の海岸に下りてみると潮風が爽やかで、足下にはハマヒルガオが一面に咲いていた。 日本全土、というより「世界中の海岸に広く分布す…
所在地 島根県大田市川合町 祭神 :宇摩志麻遅命(うましまじのみとこ) 参拝日 2019年5月 物部神社は、島根県大田市に鎮座するが、ここは旧石見国の東端にあたる。 島根、鳥取を走っていて感ずるのは、車の量が実に少ないということ、信号が無いということ…
倭文神社(しとりじんじゃ) 所在地 島根県東伯郡湯梨浜町 祭神 建葉槌命(タケハツチノミコト) 配神 下照姫命 ほか 参拝日 平成29年6月 鳥取県は東部が因幡(いなば)、西部が伯耆(ほうき)の国である。 伯耆の国の中心はやや内陸に入った倉吉で、商工業…
夕焼けや黄泉比良坂(よもつひらさか)逃げ降りよ (猪目の洞窟・・・夢に見ると必ず死ぬ) グロテスクの語源となった「グロッタ」は洞窟のことであり、ルネッサンス以降、庭園づくりの要素として人工の洞窟が盛んにしつらえられたらしい。グロッタにも、冥界…
旅に 病 ( やん ) で夢は枯野をかけ 廻 ( めぐ ) る (芭蕉) 夢に 病 ( やん ) で旅は枯野をかけ 廻 ( めぐ ) る (替え句) (芭蕉の墓:ここに葬られている:案外小さい) 芭蕉に辞世の句は無いといわれるが、これは死の4日前の病床での句であり実質最後の句…
万緑の雲見おろすや投入堂 国宝の投入堂をみにいった。 お堂は三朝町の山奥、標高520mの切り立った崖に建てられていて、下は目もくらむ千丈の谷である。足場もないのに一体どうやって建設したのか?役行者が呪術でもって投げ込んだという話が生まれるのも無…
陵や茅花流して瀬戸の風(みささぎやつばなながしてせとのかぜ) 五色塚古墳は、淡路島を望む台地の上に築かれた全長194mの前方後円墳で、淡路大橋のすぐたもとに位置する。日本書紀にも出てくるので、かねて行ってみたいと思っていた。 大きさでは全国40位…
夏艸や蒼蒼と営営と争えり 堤防は夏のよそおいだ。 春の野草たちはすでに種を残して地上から姿を消し、眠りに入ってしまった。 そして、繁みは夏の草たちで日増しに賑やかになっている。 狭い場所で生き延びるために、何種類もの草たちが激しく争っているの…
姨捨や一枚植えては立ち話 「田毎の月」で有名な歌枕、姨捨の棚田を帰郷のおりに寄った。 気にしていながら、なかなか行けない所があるものだが、ここも私にとってその一つ。信州では棚田など珍しくもないし、むしろ棚田のほうが普通なのでそれほど興味をそ…
フジの香や蜂ときそいて花に鼻 富士宮市の「下の坊」は知る人ぞ知る藤の名所だという。下の坊という名は、大石寺を上の御坊とよんだのに対し、この寺を下の御坊とよんだことに由来するようだ。熱心な花の愛好家である友人に勧められて連休の一日を花見に出か…
木の芽晴れ一枚ぬいでまた一枚 (欠いたブドウの芽) ブドウの芽が、あれよあれよと言う間に写真のように大きくなってしまった。芽は多すぎるので、あったかい日差しの下、芽欠きをした。次第に暑くなって上着を脱ぐ。 軒先に這わせている日よけ用のデラウェ…
わかかえでかきわかば神さまのえのぐ 柿わかば光も風もほしいまま いたいけなときは短し樫わかば
痩せワラビ一把で足りる今日の酒 (いたどり:写真で見ると細い感じだが、これでまあまあの太さ) 半月ほど春風邪に悩まされ、久々に堤防を歩くとやっぱり季節は進んでいる。一面にマツバウンランの薄紫が風にそよいでいるし、柿の葉のみどり、新茶のみどり…
木の芽喰う我は猿なり毛のうすき (タケノコ大きいけれど、柔らかい) 一昨日コゴミをいただいたので、茹でて一杯。 昨日は、庭のタラの芽がいい頃合いなのを思い出して、摘む。あわせて蔓延ったユキノシタを5、6枚と蕗も適当に生えているので、ちょっと細…
のどかさや日がな一日虫つるむ 気がつくと、庭に出て草取りをしている自分である。 草をとるといっても、鎌で刈るような大げさなものではなく、一ヶ所に腰を下ろしてぼんやりと目の前の小さな雑草の芽をむしる程度。ただぼんやりと春の日と風と匂いに浸って…
千年のさくら百本の支柱 (本郷の千年桜) 国道52号、いわゆる身延街道筋にある桜を見に出かけた。 身延山の久遠寺のしだれ桜は余りにも有名だが、メジャーでないほうがのんびり花を楽しめると思い、向かったのは、山梨県南部町の「本郷の千年桜」と「原間…
馬酔木散るほろろほろろと暮るるまで (もう花柄になった馬酔木) 今年も庭のアセビが終りになった。1月末から咲いて2ヵ月半。花の少ない時期にずいぶんと楽しませてもらったし、春先にはメジロやヒヨに蜜を与えておおにぎわいの食堂ともなった。 毎年、花…
やわらかに啄木泣くなり川柳 堤防を歩いていると、日々、ヤナギの色が濃くなっていくのが分る。数日前までは幾分みどりや黄色がかってぼうやり膨らんできたなと思っていたら、もうしっかりした色になっている。ヤナギにもいろいろ種類があるようで同定が難し…
芽の奥にひかり三月雨の朝 寒い雨のあとの日の光は、体の緊張がほぐれるような暖かさだ。伸びはじめたチューリップの葉芽の奥に、雨がたまっていて光っている。我が家のチューリップもようやく花の色が現れはじめた。 チューリップというと、富山の砺波平野…