2020-01-01から1年間の記事一覧

駿河七観音巡り-5 建穂寺(たきょうじ)

実は、現在この寺は現存しない。そして長い間市民から忘れさられていた。 時おり話題に上るのは、静岡市最大の春の祭り浅間神社廿日会祭に、この寺が稚児舞を奉納する折くらいだろう。これは江戸時代より前から連綿と伝えられてきた伝統芸能だということで、…

鉄丸石という丸いものの正体?

短夜やわれは夢見る石の夢 先日友人が、写真の6,7㎝の石を「これ、要る?」とよこした。安倍川の鉄丸石だと言うが、些か訝しい。外側を剥いで、磨けばいい物になるというので、後日金づちで少しづつ叩くとボロボロと土のように剥がれ崩れていく。一部に硬い…

クスダマツメクサとコメツブツメクサ(マメ科の小花たち)

大方の花は眠らず春の宵 いつもの堤防を歩いていて、ふと黄色い小さい花が目に留まった。雑草ハンターの私の脳の図鑑にまだ載っていない花だ。なんだろう? 見渡すと周辺に数株が確認できた。 調べると、クスダマツメクサかと思われる。ツメクサだから、マメ…

霧多布の北寄貝をさばく

北寄貝捌けば浪の霧多布 道東の浜中町からクール宅急便で送られてきたのは、北寄貝という大きな貝。開けてみると掌に余るような大きさで、測ると10センチほどある物がゴロゴロ20個ほど。少し驚いた。 鹹水を作って戻してやると、大きな音を立てて潮をはく。…

「3密」の支離滅裂的考察

粛々とウイルス増殖す長閑なり 新コロナ感染の事態はいささか深刻である。 3密という新しい言葉が生まれた。もともと密教にもある言葉らしいので、日本人は何となく肌で受け入れやすい語感があるが、換骨奪胎で言葉的には愉快である。流行語大賞の有力候補…

マダニに食われひと騒動

羅(うすもの)やマダニがねらう大腿部 ダニ ムカデ マムシを潜ませ山笑う 血を吸った「フタトゲチマダニ」wikipedia お風呂に入ったら二の腕に何かある。2,3ミリほどの突起物。カサブタだろうか、イボだろうか、いつこんなものができたんだろう? おかし…

コモチナデシコ 母の日近し

母の日や母となりてまた母想う 女房が散歩から一本の草を持って帰宅した。 「あまり見たことないものだから、取ってきた。たくさんあった。」という。私も知らない草だ。葉っぱはカーネーションのようだ。場所を聞いて行ってみた。 それは近くの歩道のブロッ…

幽霊みたりギンリョウソウ (ツツジ科?)

廃寺への道暗くして銀龍草 最近、自粛の暇を持てあまして、駿河七観音をテーマに山道を歩いている。物好きな友人がいてくれるのも、励みになっている。 そんな山歩きで先日、ギンリョウソウにお目にかかった。時期が良かったのか、その後も何度も見ることが…

駿河七観音巡り 番外編 (安倍川右岸の低山歩き)

今回は、友人E君と安倍川下流の右岸に連なるマイナーな尾根を歩いた。計画のコースを、次の地図に簡単に落としてみた。 ①スタート 内牧地区にある駿府学園のわき、狩野貞長の墓から尾根筋にとりついて ②新東名高速を横切り、260mのピークへ ③300mほど北上…

駿河七観音を巡るー4 増善寺

七観音はいずれも古い寺なので長い歴史の中で性格や役割を変えてきたに違いない。そうした中で私が興味を覚えるのは、山岳宗教という特徴である。いきおい創建時の原始的な信仰や古代の地政に目が向いてしまい中世以降の歴史については関心が向かないが、ま…

新型コロナ ウイルスをおさらいする

ウイルスがホモサピエンスを乗っ取りぬ (宮崎県衛生環境研究所サイトから) コロナとは、太陽の表面から噴き出す炎をいうが、それに似ているところから名付けられたという。鼻風邪はたいていコロナウィルスで、SARSもコロナ型。テレビ見る突起を出した赤い…

コロナに見えた ハマボウフウ

怯えればコロナを見たりハマボウフウ ハマボウフウ。セリ科。 砂地に生え、春は茎が食用になるということで、各地で激減しているとのこと。私は食べたことがない。まばらに生えていたが、個体数はたくさんあった。 花が半球状について、流行りの新型コロナに…

駿河の七観音に出かける -3 徳願寺(大窪寺)

徳願寺は、静岡市街地から見ると安倍川を挟んで西の方角、352mの山の中腹にある。ふもとの向敷地の集落から歩くと、参道の静かな山道を標高130mほどの寺まで約20分ほどである。山中にポツンとある寺で、ここまで上ると静岡の町が文字通り一望できる。思わ…

ホタルカズラ 草むらに深海の色 (ムラサキ科)

草むらに蛍蔓や海の碧 (もっと深い青だがうまく色が出ない) 庭にはい回っているホタルカズラが、花をつけた。 花は、深い鮮やかなマリンブルーで、一目見ると釘付けになるほどだ。咲き始めは淡い紫色に近いが、数日たつと徐々に青みを増して、写真のように…

バロック音楽の皆川さんに

うしろより見る三月の去りゆくを バロック音楽のラジオ番組「音楽の泉」の終わりに、解説の皆川達夫さんが一言、退任のご挨拶をされた。「92歳になりました」「さようなら」とおっしゃられたときには、私の中で何か一つの時代の幕が下りた感じがして、思わず…

名句に教わる8 春の水 (虚子、誓子)

春の川は、堰をきって流れキラキラして、まるで水の角が取れたような躍動感がある。みているだけで命の喜びを感じ、ついつい時間を忘れてしまう。 さて、たまにはプロの俳句を。 橋に立てば春水我に向かって来(昭和13年:虚子64歳) 春の水の勢い、雪解け水…

早春の山の花たち

ぷつぷつと面皰(にきび)が痒し木の芽時 (キブシ) 先日700mほどの近くの山、高山市民の森(静岡市)に登った。といっても駐車場に車を停めて、そこから登るのは高低差100mほど。 早春の木々や草花の芽吹きを見に行くのが目的だったが、風は冷たく、草木…

カンアオイ 枯葉にひっそり

山城の空濠深しカンアオイ 里山をウォーキングしていて、「アオイ」を目にしたので、記しておきたい。私はあまり目にすることがない野草である。 ひとつは藤枝市岡部町、一つは静岡市の丸子の山中であった。この二つが同種なのか、何という名前なのか、私に…

玉之浦(ツバキ)と遣唐使のつながり?

風にあらずメジロ啄む花ツバキ 庭のツバキが、今年はこの十年でなかったほどたくさん花をつけた。5年ほど前は、ひとつもつけなかったのだが、どういう事情があるのだろう。 これは玉の浦という人気のある品種。花弁は赤だがその縁が白く彩られていて目を奪…

マンサクにコロナ

マンサクのころなり郷を出で立ちぬ 新型コロナウィルスが感染拡大。政府はバタバタと休校を要請、野球もサッカーも自粛。株は下がり、裁判員裁判も延期。マスクがない。 冒頭の俳句は、コロナをよみ込んで、遊んだもの。 (湯殿山への道で) さて、マンサク…

SDGsじゃなくてSDG

最近よく目にするSDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称だという。国連が掲げたもので、17の大きな目標と169の具体的なターゲットがある。 この略称はあまり好きではないが、世界の貧困と飢餓の撲滅、教育の確保、健康や水…

モグラの穴に驚く!

春の野や土竜(もぐら)は眠くやわらかく 公園の芝生にモグラのトンネルがよく見えていた。音と臭いでミミズを追って捕まえ、さばいて泥を出して食べるのだという。本当かな。 我が家の北側にも棲んでいて、たまに穴をつぶしたりするのだが、ネズミに比べて…

駿河の七観音を巡るー2 法明寺

駿河七観音の発祥の地は、静岡市足久保にある高福山法明寺だといわれる。いまは曹洞宗の寺である。東海道から15キロほど安倍川および支流の足久保川をさかのぼった山村だが、静岡は南アルプスまで奥が深いのでまだまだこの辺りは山の入り口である。 2020年1…

日本坂峠を歩く・・・古代の東海道? -2

前回のフォローになるが、 「新版 駿府の伝説」にこの古い東海道についての話があったので、メモしておく。はっきりしないが、「葵文庫」に残された書物からの編集であるようだ。「葵文庫」とは徳川幕府が所有していた書物で現在静岡県立図書館が所蔵してい…

日本坂峠を歩く・・・古代の東海道?

今回は友人と静岡の平野を西に区切る山塊の尾根を歩いた。 低山だが急峻なこの山塊は、東海道の難所であり時代によって山を越えるルートが変わっていて、その変遷を知るのも面白い。現在は国道一号がトンネルで通過するが明治のトンネルも立派に残っている。…

葉ボタンも薹が立つまで

葉牡丹や薹立ち咲くまで見とどけむ 正月用に毎年、葉ボタンを寄せ植えにするのだが、今回は矮小の寄植え鉢を買ってきて間に合わせてしまった。小さいけれど玄関わきに置くと、幾分は華やいだ演出になる。 この葉ボタン、もともとキャベツと同じものだという…

暖冬大寒

大寒の地の底を打つ鼓動かな (早々とリュウキンカが咲いた。雪山では4,5月頃咲く花だ。) 暖冬で、雪国に雪がない。クマは冬眠しない。ヒマワリが咲き始める。 困ったものだ。 という以上に自然の微妙で複雑なバランスが壊れると、いろいろ問題が起きて…

駿河の七観音にでかける-1 霊山寺(大内観音)

先日、初詣を兼ねてウォーキングで清水区大内の「霊山寺」を訪れた。大内観音とよばれて親しまれている。 霊山寺は静岡と清水の中ほどに位置し、大内山304mの中腹にある。参道は急峻で一歩一歩古い自然石の山道を登ること10~15分、ようやく見事な仁王門が見…

どんど焼きの炎に

焼け残りダルマの眼にらむどんど焼き どんど焼きが近くの野原で11日に行われた。 地元の自治会主催で10年ほど前から行われ、昨今は人出もなかなかなイベントに成長した。私は今年度、町内会の役員が回ってきたので、会場整理係で半日おつきあいとなった。 予…

七草粥と若菜摘み

朝日射す七草粥のうすみどり 正月7日の朝は、ささやかな習わしとして七草粥にすることにしている。七草は、もちろんスーパーで買ってきたものである。電気釜で粥炊きにセットする。 椀から湯気がたちのぼり、朝日に当たって光る。セリの匂いが立ち込める。 …