#俳句、川柳

「卯の花と小町」雑談

色うつる卯木の花を挿頭(かざし)かな 山では卯木が満開。種類もいろいろだ。 おや、花の色が白とピンクのものがある。 帰宅して調べたら、ハコネウツギ(もしくはニシキウツギ)らしい。いずれも白から赤に変化し、両者の区別は難しいとのことなので、即断…

富士山のまぼろしの滝へ(付 伊奈神社)

雪解富士 山気降りくる沢の陰 (左下に向けて沢を水が落ちるとのこと:写真は河床だけ) 富士山の雪解け水が流れ下り、滝が出現する。5月頃の一時に現れる現象で、人呼んで「まぼろしの滝」。友人の誘いにのって出かけてみた。 場所は須走登山口(静岡県小…

ニセカラクサケマンでしょうか??

草茂る名前も風も横向きに おや、見かけない花だね? 最近、静岡の麻機遊水地がさらに拡張された。まだ雑草の少ない、広々とした水辺の風景は心地よい。そこに見たことのない花を見つけた。 ムラサキケマンが何かおかしく生育してしまったのか?それともヨナ…

チガヤまたはツバナ

空につづく径浄めたる茅花かな この季節、チガヤの花穂が真っ白に風になびいて美しい。 白というより光というほうが感覚としては近いかもしれない。俳句ではこの風を「つばなながし」といい、特別扱いしていることでも、この花穂に対する日本人の思い入れが…

立夏の白い野草たち

卯の花を挿せば小雨となるやらん 今日は白い花にスポットを当ててやろうと思う。 先ずはウノハナ。といってもこれはバイカウツギで野草と書いたが園芸種かもしれない。微かに香るのも品がいい。 でも、わが狭い庭の草たちは、今が盛りと生長し花をつけている…

ヒマラヤを単身越えてチベットに密入国した慧海(えかい)

漢(おとこ)らの時代は過ぎ去り五月鯉 慧海が越えたネパール・チベット境のクン・ラ峠(5,411m) (参考に、稲葉香さんというヒマラヤを探検している女性の本(*2)が出ているので、写真を使わせていただいた。彼女は慧海に刺激を受けて、彼の辿ったルー…

ウグイスとイソヒヨドリ

囀りや森の深くは暗きまま (情けない写真だが、ウグイス) 最近家の近くにウグイスが毎日来て、早朝から美声を聞かせてくれる。 今年の彼は歌が上手くて、ケキョの部分を二度繰り返し気味に鋭く響かせ、これまで聞いたなかで指折りだ。このケキョが、街に響…

柳絮、柳を挿すということ

芽吹きから青柳までの早さかな 公園を歩いていると、おや?白いものがたくさん飛んでくる。 柳絮だ。これはヤナギの花のホワタで、近づいてみると今を盛りに枝も真っ白である。 柳絮、と書くと、なんだか中国の古い時代、唐詩や伝奇集を思い出して現実離れし…

馬酔木の花柄摘み夢想―2

二上山に皇子は眠るや花馬酔木 (山辺の道の崇神天皇陵から見た二上山) 謀反の罪で誅殺された大津皇子は当時24歳。天武が逝去した二十日余り後のことで、逮捕して翌日に処刑された。歴史家は、これはのちの持統天皇が自分の息子、草壁皇子の皇位安泰を図…

馬酔木の花柄摘み夢想ー1

甘えたき香り微かに花馬酔木 庭の馬酔木がおわった。あせた不様な姿をさらしている。 でも2月から二月ほど庭を贅沢に彩ってくれた。ピリッとした空気の朝、かすかに漂う香りも嬉しかった。メジロやヒヨドリの群がる木であったし、タテハチョウが真っ先に飛…

万朶のサクラ妄想

酔え笑え花すっぱだか我すっぱだか 満開の桜の下を歩いている。香りがうっすら漂ってくる。 溢れるような万朶の桜に包まれると、桜の花の下には死体があるとか、桜は神の依り代でこれを頼りに神が下りてくるとか、何かあの世的な、魔的なさまざまな想像を呼…

野草の小さい花

草萌ゆる一丁前面小さき花 (くさもゆる いっちょまえづら ちさきはな) 普段は気にもしにない雑草の小さい花たちが、やはり芽吹きのこの時期は、特別に可愛く感じられる。 枕草子に 「うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに…

ウクライナ ヒマワリの国へ

桃の日の国から届けヒマワリへ (ロダン:カレーの市民 のうちの一体 捕虜として名乗りを上げた市民) ウクライナ情勢から連日目が離せない。 ウクライナの市民が、女性も若者も銃の使い方を教わり火炎瓶を作っている様は英雄的に見えるし、反面また恐ろしい…

ウクライナ侵略

ウクライナ戦火の中に二月果つ まさかの軍事侵略が行われている。 アメリカが情報を出すたびに、「そんなバカな」と思っていたが、そのとおりになってしまった。事態は西側諸国が警戒していた最悪の事態となっている。 プーチンはやむを得ない選択とうそぶき…

静岡市の名もなき山稜を歩く(麻機アルプス?) (権現山から子供病院まで)

春浅し辿るかすかな獣道 静岡市の平野に、北部から流れ込んでくる山の尾根筋が何本かある。よく知られているのは、賤機山といわれる山稜で、静岡の街の中まで伸びてきて、先端部に静岡浅間神社があり、ハイカーが良く歩くコースである。 今回歩いたのは、賤…

静岡にハクチョウ

白鳥の鼻の黄色き二月かな 近くの遊水地に、昨年に続いて今年も白鳥が4羽姿を見せた。10日ほど前に見て以来、情報もないので、まだいるのだろうか。広い湿地なのでなかなか見つけるのは難しい。 友人にも教えたのだが、私の見た場所では、確認できなかった…

ものの芽 3枚

ものの芽や赤子のちんちんつまみたし これはチューリップ 玉が小さいので、今年は咲くかどうか? これはバイモユリ これが一番早く咲きそう これはムサシアブミ まだ冷えるのにこんなに芽を伸ばして大丈夫か?

ペリリュー ―楽園のゲルニカ―

ペリリュー戦記読んで大寒を震えおり (主人公が命を懸けて投降する場面) 「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」全11巻を読み終えた。白泉社から出ているコミックで、著者は武田一義さん、原案協力:平塚柾緒さん(太平洋戦争研究会)と記されている。 ペリリュ…

餌台のメジロとヒヨ

寒厳し餌台の鳥の脚ほそし 例年以上に今年は寒い。 この寒中でも野生の小鳥たちは餌を探して、何かを食べて生き残っている。つくづく大変だと思う。生きる時間の大半を餌探しに使う。生き甲斐さがしなんて人間だけ。 餌台にミカンを置いてやると、メジロが盛…

トンガ火山に津波

年玉や地震に津波噴火にコロナ (衛星写真)フンガ・トンガ―フンガ・ハアパイ火山 トンガの火山の噴火には驚いた。 宇宙からの映像を見ていると、広島のきのこ雲を思い出した。しかも大きさはその比ではない、ように思えた。そして空気の振動で津波が起こり…

ロウバイ馥郁と

ロウバイや花に包みし暖かさ ロウバイが、今頃ちょうど満開。 何十年前かになるが、静岡に転居した初めての正月、近くの神社を参拝したとき、強烈なそれまで知らない香りに鼻を打たれた。一体何だろうと探ると、真冬なのに黄色い花が咲き溢れていて、香りは…

礼者は種子

風に舞う種子は礼者か物言わず 締め切ってあったはずの部屋に、パラシュートをつけた種が二つ舞い込んでいる。どこから入ったのか首をかしげたのだが、翌日また一つ。まるで謎の白いひげの翁のようだ。これは縁起の良い「礼者」にちがいない、と勝手にプラス…

正月の草津ぶし

元日や湯の香にふかぶか身を委ね ♪ 積もる思いと草津の雪は 解けるあとから花が咲く 息子に誘われて、草津温泉の正月となった。 この年末年始は、寒気が襲い草津でも例年にないドカ雪になった。しかし昼間は明るい日が射して、まばゆいばかりの雪景色が見ら…

年末は一茶とシューベルト

閑居して不善も為さず暦果つ 暦を新たにする。 身の回りだけ、ざっと掃除も済ませた。庭のナンテンを3本切って、玄関に活けた。数少なくなった年末の仕事である。 年末の俳句は、一茶が似合わしい。あなた任せだし、中くらいだし。私は下だけれど。 つまし…

安倍川粘土搗き唄(地元の民謡を)

寒声や野山の女神に届くまで (安倍川の河川工事 2020.12撮影) 静岡には民謡がないね、ちゃっきり節と農兵節くらいなものか、と人は言う。けれど、茶摘み歌も田植え歌も盆踊り歌もあったはずであるが、静岡はそれをうまく残し伝えなかっただけだ。 民謡クラ…

湯たんぽ抱えて

此岸(ここ)に居て湯たんぽぎゅっと抱きしめる 石油ストーブを使うと、湯がどんどん沸いてくれる。もったいないので湯たんぽを使い始めた。電気毛布や電気アンカとはちがい、暖かさに包容力があり不思議な幸せ感が味わえるので、一度使うと手放せない。 年末…

レンコン掘り

蓮根(はすね)掘って探って掘って泥となり 家の近くの湿地では昔からレンコンが栽培されていてローカルなブランド品となっており、正月を控えたこの時季、収穫姿があちこちで見られる。一部では水圧を使って掘り出しているが、大部分は手掘りの小規模経営で…

大谷、田中、仲邑さん

ただ走り木枯しとなる漢(おとこ)かな (静岡県市町村対抗駅伝 12月4日) スポーツは苦手な私だが、今年は「大谷翔平」には夢中にさせられた。 シーズン開幕早々、彼の怪我の回復を心配しながらテレビ観戦すると、なんと160キロを連発するピッチングを見…

カマキリ枯れる

生と死の際に蟷螂枯れており カマキリが晩秋に衰えて、色が茶色に変わってくるのを、「蟷螂が枯れる」と俳句では表している。実際には緑色のものが茶色にはならないようだ。 けれど寒い日にもカマキリが威厳?を失わず、ただじっとしているのを見ると、やは…

またイチョウのことなど

銀杏散る本堂奥に涅槃仏 hitokoto2020さんからいただいたコメントの情報から「イチョウの大冒険」という絵本を知って、早速図書館から借りてきた。 なかなか優れた本で、日ごろいろいろ疑問に思っていたことを知ることができた。 イチョウは絶滅しかけたが、…