河原でヤナギが満開

柳咲いて大河目覚めの狂詩曲 安倍川の中流を歩くと河原のヤナギが満開だった。眩しいほどのディープ・イエローに咲き誇っている。 まだ風は冷たく傾き始めた午後の光の中で、おびただしい数のヤナギの樹々が燃えるように浮かび上がる。石ころの両岸に沿って…

ジャガイモから馬鈴薯へ?

薯(いも)植えるインカの如く棒つつき 台所で芽が生えていたジャガイモを、初めて植えてみた。といってもただ土を棒でつついて穴を掘り、上らしき方を上にしてそのまま埋めただけ。イモは丈夫だからきっと生長するだろうと信用している。これで一個の薯が数…

野花の苗

花の芽に世界のことなど希みかけ この時季は花屋さん、苗木屋さんをのぞくのが楽しい。 ポット植の南高梅が昨夏に急に枯れてしまったので、もう一度ウメを植えたいなと思って、きょろきょろしているのだが、それ以上に色々な花々が鮮やかで思わず知らず見入…

タヌキのため糞・・・尾籠ですが

ため糞はタヌキの夫婦か春の風 季節はゆっくりと春へ向かっている。南風が吹くといっぺんに辺りの風景が和らぐ。ついつい野原を歩きたくなる。 沼の白鳥が水場で草を食べているのが見える。もう一時のブームは過ぎて、観察者も少ない。シベリアはまだ寒いよ…

早春の赤い花木たち

春動く花にも兆す血のゆらぎ 満を持したように、赤い花が咲き始めた。 これは、木瓜(ぼけ)。 これは、緋寒桜(ひかんざくら)。実際はもっと黒っぽい。 これは、紅梅(こうばい)。 これは、玉之浦(たまのうら)。 早春の花の赤や紅には、身から絞り出し…

ミカンが山盛り

来客はメジロのようにミカン食べ 静岡はミカンの産地だが、今、農協へ行くとたくさんな品種のミカンが並んでいて地元民でもその豊富さに驚いてしまう。 暮れから1,2月頃は、「温州青島」という品種が圧倒的な主力。糖度が高く、酸味とのバランスがよいお…

冬のスズメ

冬雀寒夜をいかに耐えたるや (雀とメジロ) 庭の餌台に、雀が群れて来るようになった。多い時は10羽ほど群れてくる。雀は昔から人家の近くにいて珍しくもなんともない鳥なのだが、意外に我が庭には寄り付かない。そして来ても警戒心が強い。 数が減っている…

早咲きサクラと小泉八雲

初サクラいざ生きめやもこの朝(堀辰雄風に) カワヅザクラは、ピンクが鮮やかでとても早咲きだ。近所にもたくさん植えられていて、1月の半ばから、もうちらほら花が見えてきた。その中でも特に早い一本があったので、写真を撮ってきた。盛りの時季よりはま…

「薄氷」(うすごおり)という銘菓

薄氷(うすらひ)の舌にもふれず融けにけり 知人から面白いお菓子をいただいた。 「薄氷」(うすごおり)という、富山県小矢部市石動の「薄氷本舗 五郎丸屋」さんのお菓子で、知る人ぞ知る銘菓とのこと。甘いものにはあまり関心がないわたしが、知る由もない…

空爆の慰霊碑・・・加害者と被害者と

砲身は熱し地下壕に寒の夜 ( 戦災犠牲者慰霊碑の観音像 とB29墜落搭乗員慰霊碑(左側)) ロシアの無差別ミサイル爆撃が止まらない。国連の発表では、ウクライナの市民の犠牲者が7,000人を超えたといい、さらにまだ確認できないものも多く実情を把握できて…

白鳥の歌

白鳥や頸折り眠る星の下 静岡市の郊外にある麻機沼に、今年また白鳥が来ている。この地では珍しいことなので、沼には観察者がいつも数人は集まって、カメラを構えている。 私も沼の周辺を散歩がてらに白鳥を観察?した。オオハクチョウで、8羽くらいいそう…

駅伝という快楽

駅伝という優しさ激しさ走り過ぐ (第4中継所で待つ選手たち 不安と決意と) 12月30日は「富士山女子駅伝」。女子大学の選抜24チームが走った。 コースは富士宮の本宮浅間神社をスタートし、田子の浦の海沿いを走り、富士市吉原から富士山に向かって真っす…

赤い実と白鳥の沼

赤き実のことさら赤き年の暮れ 近くの沼の周辺をぶらぶら歩き。襟を立てポケットに手を突っ込んで。鼻を啜りながら。 陽が西に傾いてきた。自分の影が長い。 路の脇に、ヘクソカズラの赤茶色い実が見えたので、引っぱって取った。茎は結構しっかりしているか…

柚子風呂

突き出した腹に乗ろうと風呂の柚子 鉢植えのヒメユズだが、今年も何十個か実をつけてくれた。ヒメユズは、香りもきつくはなく食べても酸味も強くはない。ただ小柄で見栄えよく、輝くような黄金色は見るだけで気持ちが贅沢になる。気持ちだけだが・・・。 柚…

安倍城という南北朝の夢の跡 

友人の誘いを受けて久しぶりに近くの山に登った。静岡市街地から西にみえる標高435mの安倍城跡である。今回は西ヶ谷からきつい坂を登った。結構ばてた。 (安倍城址 独立峰の趣がある) ピークには三等三角点があるがこの山に名前は特に無いのだろうか、「…

静岡おでん

駆け込んでまずふろふきと燗一本 お生まれは何処かと注ぎあうおでん酒 「静岡おでん」はB級グルメとして広く知られるようになった。静岡市内には、おでんの屋台を集めた通りが二つあり、最近では観光名所にもなり人気のスポットらしい。私も何度か酔って入…

外来のみごとな紅葉

外来の樹の名は知らず冬紅葉 (「フウ」の紅葉と実) 遠くへ行かなくても、きれいな紅葉が楽しめる。 そんなやせ我慢をいいながら、実際気をつけてみれば身近に素晴らしい紅葉があるものだ。 ひとつは近くの小学校の校庭に20mほどに高々と聳える樹。真っ赤…

駅伝 そして走るということ

駅伝やしんがりが来るまで寒し 駅伝の季節が始まった。 昨日、静岡市町対抗駅伝という恒例のイベントがあり、近くの田んぼの道がコースになっているので、応援に出かけた。この区間は高校男子なので、速い生徒は素晴らしい美しい走りを見せてくれる。ただし…

赤黒い月蝕にちなんで

大いにフィーバーした月食だが、花でも赤く変色するものがある。取り上げたもののほかにもマツヨイグサなども赤く変わるが、今日はいい写真がない。 月蝕や赤き熟柿の堕ち枝に 11月8日の宵に皆既月食があった。月が赤黒く陰るのはやはり不気味だ。天王星…

ミゾソバやタコノアシなど秋の沼

みぞそばの瀬を跳びかねて遠回り 近くの沼を散歩していると、ミゾソバが満開だった。見れば見るほど砂糖菓子のようで可愛い花である。 みぞそばや金平糖のお姫さま こんな句が出てくる。 サクラタデはもう終わり。今年は台風15号の出水で花の時季に泥かぶ…

対馬の石は面白い

防人の積みし石なり北西風(アナジ)吹く (あなじ、とは対馬でいう冬の北西風のこと。対馬は風が強い。) 金田城 対馬の金田城は、663年に白村江の戦いに大敗した大和政権が、防衛のために急造した山城である。山頂を取り巻くように石を積む朝鮮式なので、…

アマテル、ツキヨミ、ムスビの神は壱岐対馬からか?

先にワタヅミ神社にヤマヒコ、タマヨリヒメ神話の世界を見てきたが、さらに国の誕生神話に類似する伝説を残す神社が壱岐対馬にはある。それは日の神のアマテル神社と月の神の月読神社、そしてムスビの神の神社である。 日本書紀では、イザナギがイザナミに追…

韓国が見えた

望郷や海市の如くプサン見ゆ 対馬の最北端、韓国展望所までは厳原から約80キロ。途中の道路は整備が進められていて長いトンネルがいくつも島を貫いていた。そしてほとんど制限速度表示がない、ということは普通60kmということでこれも本州ではあまり見ないこ…

曾良(俳人)の墓

壱岐の宿なるほど硬し新豆腐 (河合曾良の墓) 曾良の墓が、壱岐にあると知ったのは司馬遼太郎の「街道をゆく」からだった。 司馬遼太郎によれば、曾良は芭蕉の亡きあと、幕府の巡見使の一員となって壱岐にわたり、島の北端にある勝本の港の海産物問屋中藤家…

一の宮巡詣記(67番) 対馬の和多津美神社、海神神社

和多津美神社(対馬) 所在地 対馬市豊玉町仁位和宮55 祭神 彦火火出見尊、豊玉姫命 参拝日 令和4年10月21日 対馬の一の宮として有力なのは、仁位の和多都美神社と木坂の海神神社の二社である。 「海神」の社名は本来これでわたづみと読むのだが、仁位…

壱岐対馬の野の花をちょっと

対馬海流のお陰で暖かいのだろう、壱岐対馬の森はシイなどの照葉樹が目立った。それは伊豆などに似た雰囲気だった。対馬の金田城(257m)にシイの実を踏んで上ると、眼下には絶景が広がっていたが、陸地は文字通り一面の山と森林で、素人の私の目にはスギな…

季語「春一番」は壱岐うまれ

壱岐対馬つかず離れず冬の靄 (防潮堤の文字が目立つ) 壱岐では、郷ノ浦に宿をとった。早朝に漁港を散歩すると、快晴の玄界灘は水平線まで雲一つなく、素晴らしい深い海の色だった。句にしたような靄など全くない。 入り江の防潮堤に進むと、大きく書かれた…

一の宮巡詣記(66番) 壱岐の天手長男神社

天手長男神社 (壱岐) 所在地 郷ノ浦田中触字鉢形山 祭神 天忍穂耳尊、天手力男命、天鈿女命 参拝日 令和4年10月18日 男4人で、壱岐対馬を3泊4日で巡った。 博多港を出るとうねりは高かったが、ジェットホイルは約1時間で壱岐の芦辺に着船した。遣…

すすきの穂が出て

穂に出でて風におどろくススキかな ススキが美しい季節だ。 一つ一つの穂花もいいし、群生して風に波打つのもいい。古来日本人がこの姿を愛でてきたのも納得できる。しかも屋根をふくにも欠かせないものであればなおさらである。 枕草子64段は知る人も多い…

山芋が花鉢から採れた話

山芋の蔓枯れてあり掘りてみん とんでもないところから、山芋が見つかった。 鉢植えの蔓バラが最近あまり咲かないので、整理しようと思って鉢から抜くと根がびっしりと回っていた。ところがその一番下に太い白い根がとぐろを巻いている。変な根だなあ、と思…